家族性地中海熱(FMF)は、MEFV遺伝子の変異により生じる自己炎症性疾患である。1〜3日程度で自然軽快する周期的な高熱と、無菌性の漿膜炎(腹痛、胸痛)を繰り返す。CBTや医師国家試験では、コルヒチンの著効や、致死的な合併症である二次性AAアミロイドーシスの予防が頻出の重要疾患である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
周期性発熱(12〜72時間続く38℃以上の高熱が、不定期に反復する)
腹膜炎(激しい腹痛、筋性防御、反跳痛を伴うことがあり急性腹症に似る)
胸膜炎(深呼吸や体動で悪化する胸痛)
関節炎(膝や足関節などの大関節における単関節炎・非破壊性)
丹毒様紅斑(下腿から足背にかけての境界明瞭な発赤・腫脹)
初期評価
幼少期〜若年期から反復する原因不明の発熱と、腹痛や胸痛(漿膜炎)のエピソードから強く疑う。家族歴(血族結婚など)の有無も確認する。
検査
発作時の血液検査で著明な炎症反応(CRP高値、血清アミロイドA(SAA)高値、白血球増多)を確認する。発作間欠期にはこれらの数値は完全に正常化するのが特徴である。確定診断には「MEFV遺伝子検査」を行い、変異を証明する。AAアミロイドーシスの合併を評価するため、定期的な尿検査(尿蛋白)が必須である。
鑑別
鑑別でよく出るのは、同じく周期発熱をきたす「PFAPA症候群(小児に多く、アフタ性口内炎、咽頭炎、頸部リンパ節炎を伴う)」である。その他、発作時の激しい腹痛から急性腹症(急性虫垂炎や消化管穿孔)、成人Still病などと鑑別する。
初期対応
発作時の疼痛や発熱に対してはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用するが、発作そのものを止める効果は限定的である。
根本治療
発作の予防および二次性AAアミロイドーシスの発症抑制のために、「コルヒチン」を生涯にわたって毎日内服することが絶対的な第一選択である(発作時のみの内服ではない点に注意)。コルヒチンに抵抗性を示す重症例や不耐例に対しては、抗IL-1β抗体(カナキヌマブ)などの生物学的製剤を使用する。
病態
ピリン(pyrin)という蛋白をコードするMEFV遺伝子の異常により、インフラマソームが過剰に活性化し、IL-1βが大量に産生されて全身の強い炎症(自己炎症)を引き起こす。
原因
MEFV遺伝子の変異による常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患である。地中海沿岸に多いが、日本にも一定数存在する。
分類
自然免疫系の異常による「自己炎症性疾患」の代表格である(※自己免疫疾患ではない)。
試験での重要ポイント
「小児〜若年期から、1〜3日で自然に下がる高熱と激しい腹痛(胸痛)を何度も繰り返している」という病歴があれば本疾患を強く疑う。発作時の腹痛は反跳痛を伴うこともあり急性腹症(虫垂炎など)と誤診されやすいため注意が必要である。治療薬として『コルヒチンが著効』することが超頻出。また、長期間の炎症によってアミロイド蛋白が腎臓などに沈着する『二次性AAアミロイドーシス(ネフローゼ症候群や腎不全をきたす)』が予後を決定するため、その予防としてのコルヒチン内服継続が絶対暗記項目である。
覚え方・コツ
「地中海熱は、1〜3日の熱と腹痛のループ。原因はMEFV(メフブ)遺伝子。治療とアミロイド予防には絶対コルヒチン!」
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、自己抗体である抗リン脂質抗体が陽性となり、動静脈の血栓症や習慣流産(不育症)を引き起こす自己免疫疾患である。体内で血栓ができやすいにもかかわらず、検査(in vitro)ではAPTTが延長するのが特徴的な引っかけである。
脊柱管狭窄症は、加齢に伴う骨や靱帯の変形により脊柱管が狭くなり、中の馬尾神経や神経根が慢性的に圧迫される疾患である。高齢者に多く、歩行により下肢痛・しびれが出現し、休むと改善する「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が特徴的である。
椎間板ヘルニアは、椎体間のクッションである椎間板の髄核が線維輪を突き破って脱出し、脊髄や神経根を圧迫する疾患である。若年〜壮年の男性に多く、腰痛とともに片側の激しい下肢放散痛(坐骨神経痛)やしびれをきたす。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、多彩な自己抗体(特に抗dsDNA抗体)が産生され、全身の皮膚、関節、腎臓、中枢神経などに炎症をきたす多臓器疾患である。20〜40代の女性に好発し、Ⅲ型アレルギーによる免疫複合体の沈着(ループス腎炎など)が病態の核心となる。