劇症肝炎(急性肝不全)は、急性肝炎の経過中に極めて急激かつ広範な肝細胞壊死を生じ、発症から8週以内に「高度の肝機能障害(プロトロンビン時間 ≦ 40%)」と「肝性脳症(II度以上)」をきたす致死的な病態である。B型肝炎ウイルスや薬物アレルギーなどが原因となる。
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初期:通常の急性肝炎症状(発熱、倦怠感、食欲不振、黄疸)。
劇症化のサイン:肝性脳症(羽ばたき振戦、異常行動、傾眠、昏睡)、出血傾向(消化管出血、皮下出血)、腹水、肝の急激な縮小。
診断基準:急性肝障害発症から8週以内に、①『PT活性 ≦ 40%』または『PT-INR ≧ 1.5』、②『II度以上の肝性脳症』を認めること。
血液検査:総ビリルビンの著増、AST/ALTの著増(末期は低下)、アンモニア上昇。
画像診断:腹部エコー・CTで著明な『肝萎縮』。
全身管理と人工肝補助療法:劇症化の兆候があれば直ちに専門施設へ搬送し、『血漿交換(PE)』と『持続緩徐式血液濾過透析(CHDF)』を行い、有毒物質の除去と凝固因子の補充を行う。
抗ウイルス療法:B型肝炎が原因の場合は核酸アナログ製剤を投与。
外科的治療:内科的治療で回復の見込みがない(ガイドラインの移植適応基準を満たす)場合、『肝移植(生体または脳死)』が唯一の救命法となる。
病態
肝細胞が急激に大量死するため、肝臓の解毒機能と合成機能が完全に破綻する。肝炎発症から脳症発現までの期間により、「急性型(10日以内)」と「亜急性型(11日〜56日)」に分類され、亜急性型の方が肝臓の再生力が乏しく予後が悪い。
試験・臨床での重要ポイント
診断基準の数値『PT(プロトロンビン時間)≦ 40%(またはINR≧1.5)』と『肝性脳症(II度以上:羽ばたき振戦など)』が超重要。
画像では、肝臓が急激に縮む『肝萎縮』を認める。血液検査では、初期はAST/ALTが著増するが、末期になると肝細胞が死滅し尽くして逆に酵素が低下する(酵素・黄疸解離)。
救命には内科的治療(人工肝補助療法など)の限界を見極め、タイミングを逃さずに『肝移植』の適応を判断することが極めて重要である。
覚え方・コツ
「劇症肝炎は『肝臓が数日で溶けて無くなる(肝萎縮)超緊急事態』!解毒できないから『脳症』になり、血を固めるタンパク質を作れないから『PTが40%以下』になるのがテストの絶対条件!B型肝炎(特にキャリアの急性増悪)や薬(アセトアミノフェン等)で起きやすい。血漿交換で時間を稼ぎつつ、ダメなら『肝移植』だ!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。