肝細胞癌は、肝細胞から発生する原発性肝癌の代表格であり、その約90%以上が肝硬変や慢性肝炎(B型・C型、NASHなど)を背景に発症する。早期発見のためのサーベイランスと、BCLC分類に基づいた肝予備能・腫瘍条件を考慮した多角的な治療選択が重要である。
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初期:無症状(定期検診の画像で発見される)。
進行期:右季肋部痛、腹部膨満感、黄疸、腹水、全身倦怠感、体重減少。
腫瘍破裂時:突発的な激しい腹痛、血圧低下(出血性ショック)。
血液検査:腫瘍マーカー(AFP, PIVKA-II, AFP-L3)。肝機能評価(Child-Pugh, ICG R15)。
画像診断(確定の要):
超音波(US):スクリーニング。ハロー(境界の暗い輪)を伴う結節、モザイクパターン。
Dynamic CT/MRI:動脈相での濃染、平衡相・遅延相でのwashout。MRIのEOB肝細胞相での低信号。
血管造影:治療(TACE)を兼ねて実施される。
肝予備能良好(Child-Pugh A/B)かつ少数病変:『肝切除』または『ラジオ波焼灼療法(RFA)』。
多発病変(4個以上):『肝動脈化学塞栓療法(TACE)』。腫瘍に栄養を送る動脈を詰めて兵糧攻めにする。
遠隔転移・脈管侵襲・TACE不応:全身化学療法。『アテゾリズマブ+ベバシズマブ(免疫チェックポイント+血管新生阻害)』が現在の第一選択。その他、レンバチニブ、ソラフェニブ。
肝機能不良(Child-Pugh C):『肝移植』、または緩和ケア(BSC)。
病態
慢性的な炎症と再生を繰り返す過程で、多段階的に発がんする。多中心性発生(Multicentric occurrence)が特徴で、治療後も残存肝から再発しやすい。血流支配が正常肝(門脈主導)とは異なり、『肝動脈』が主となるため、画像診断やTACE(肝動脈化学塞栓療法)の根拠となる。
試験・臨床での重要ポイント
画像診断の3種の神器:『Dynamic CT/MRI』での『早期濃染(Early enhancement)』と『後期排泄(Delayed washout)』、および『細胞外液性造影剤(Gd-EOB-DTPA)』による肝細胞相での低信号。これがみられれば組織診なしで診断可能。
腫瘍マーカーは『AFP』、『PIVKA-II』、『AFP-L3分画』の3つ。治療アルゴリズムは『肝予備能(Child-Pugh分類)』、『腫瘍数』、『腫瘍径』の3要素で決める日本の『レジメン』と、全身状態を考慮する『BCLC分類』が国際標準。
覚え方・コツ
「肝細胞癌は『ハイリスク患者の定期検診』で見つける病気!エコーで怪しい影を見つけたら、造影剤を打って『早く光って(染まって)、早く消える(抜ける)』のを確認しろ!治療の合言葉は『3-3-3』。Child-Pugh A/Bで、3個・3cm以内なら手術かラジオ波(RFA)。それより多ければカテーテル(TACE)。さらに進行していれば飲み薬(分子標的薬)か免疫チェックポイント阻害薬(アテゾベバ)の出番だ!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。