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低ナトリウム血症は、血清Na濃度が135mEq/L未満の状態であり、主に体内の「水過剰」によって相対的にNaが希釈されることで生じる。細胞内浮腫による中枢神経症状(意識障害など)をきたし、急速な補正は浸透圧性脱髄症候群(ODS)という致死的な医原性合併症を招くため厳重な管理が必要である。
軽度(130〜135):無症状、易疲労感、食欲不振。
中等度(120〜130):頭痛、悪心、嘔吐、見当識障害。
重度(120未満・急激な低下):脳浮腫による昏睡、けいれん、呼吸停止(致死的)。
初期評価:血清Na<135mEq/L。自覚症状と進行スピードの確認。
検査:『血漿浸透圧』を測定し、真の低浸透圧性低Na血症であることを確認(高血糖による偽性を除外)。次に『尿浸透圧』『尿中Na濃度』を測定。身体所見(血圧、脈拍、皮膚ツルゴール、浮腫、頸静脈怒張)から細胞外液量を3つに分類する。
治療方針
基本は原疾患の治療と『水分制限』である。
重症・有症状の急性低Na血症:けいれん等がある場合は、細胞内浮腫を速やかに解除するため『3%高張食塩水』を慎重に投与する。
無症状・慢性低Na血症:水分制限。細胞外液量増加型やSIADHに対しては、V2受容体拮抗薬(トルバプタン:水のみを尿中に排泄させる)が有効な場合がある。※いかなる場合もODS予防のための補正速度制限(原則8mEq/L/日以下)を厳守する。
病態
Naの喪失よりも「水の貯留」が主因となることが多い。原因検索のために、①血漿浸透圧の評価(偽性や高浸透圧性の除外)、②細胞外液量(ツルゴール低下、浮腫の有無)の評価を行うアプローチが鉄則である。
試験・臨床での重要ポイント
細胞外液量が減少(カサカサ)していれば下痢や利尿薬、増加(ブヨブヨ)していれば心不全や肝硬変、正常(ツルツル)であればSIADH(不適合分泌症候群)や甲状腺機能低下症を鑑別する。
最大の鉄則は『治療スピードの制限』である。慢性的な低Na血症を急速に(高張食塩水などで)補正すると、脳細胞が急激に脱水収縮し『浸透圧性脱髄症候群(ODS:かつての橋中心髄鞘崩壊症[CPM])』という不可逆的な四肢麻痺・昏睡を引き起こす。補正速度は『1日あたり8mEq/L以下(多くとも10mEq/L以内)』に留めるのが絶対のルール。
覚え方・コツ
「低Na血症は『水で薄まった状態』!脳が水ぶくれ(脳浮腫)を起こして意識がおかしくなる。原因探しは『お肌の水分量(カサカサ・ブヨブヨ・ツルツル)』で分類!慌てて塩水を入れて急激に治すと、今度は脳が干からびて『橋中心髄鞘崩壊(ODS)』になって死ぬから、1日8mEq/Lのスピード制限を絶対に守れ!」
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腎性尿崩症は、抗利尿ホルモン(ADH:バソプレシン)の分泌は正常であるにもかかわらず、腎臓(集合管のV2受容体)がADHに反応しないため、水分の再吸収ができず多尿・口渇をきたす疾患である。
急性尿細管壊死(ATN)は、腎臓の尿細管上皮細胞が虚血や毒性物質によって壊死・脱落し、急激な腎機能の低下(急性腎障害:AKI)をきたす疾患。腎性AKIの中で最も頻度が高く、脱水などによる「腎前性AKI」との鑑別が重要である。
腎静脈血栓症は、腎臓から血液を戻す腎静脈内に血栓が形成される病態。ネフローゼ症候群(特に膜性腎症)の代表的な合併症として知られ、突然の側腹部痛や血尿をきたす。
横紋筋融解症は、骨格筋(横紋筋)の急激な破壊・壊死により、筋細胞内の成分(ミオグロビン、CK、カリウムなど)が血液中に大量に流出する病態。急性腎障害(AKI)や致死的な高カリウム血症を引き起こす極めて危険な救急疾患である。