医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
感染性心内膜炎(IE)は、心臓の弁や心内膜に細菌などが感染し、疣贅(ゆうぜい:菌や血栓の塊)を形成する致死的な感染症である。発熱、新たな心雑音、全身の塞栓症状・免疫反応を特徴とする。CBTや医師国家試験では、起炎菌の分類、特徴的な身体所見(オスラー結節など)、抜歯前の予防投与が毎年問われる超頻出疾患である。
発熱(長引く原因不明の発熱)
新たな心雑音の聴取(または既存の雑音の増悪)
Osler(オスラー)結節(指趾の指腹部などにみられる有痛性の紅斑・結節:免疫反応)
Janeway(ジェーンウェイ)病変(手掌や足底にみられる無痛性の紅斑:微小塞栓)
Roth(ロート)斑(眼底検査でみられる中心白乾を伴う出血斑:免疫反応)
爪下線状出血、脾腫、脳梗塞症状
初期評価
問診で基礎心疾患(VSDや弁膜症など)の有無、最近の抜歯や消化器内視鏡などの処置歴を確認する。診察で心雑音と特徴的な皮膚症状・眼底所見を評価する。
検査
必ず「抗菌薬投与前」に血液培養を複数セット(最低でも3セット)採取する。経胸壁心エコー(TTE)を実施し、疣贅(vegetation)や弁の破壊(逆流)を確認する。描出困難な場合や人工弁の場合は、より高感度な経食道心エコー(TEE)を行う。
鑑別
リウマチ熱(溶連菌感染後、Jones基準)、非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE:悪性腫瘍などに合併)、膠原病(SLEなど)、その他の不明熱(FUO)を来す疾患と鑑別する。
初期対応
血液培養を採取した後、起炎菌の判明を待たずに経験的治療(エンピリック・セラピー)としてペニシリン系+アミノグリコシド系(ゲンタマイシン)などの殺菌性抗菌薬の点滴静注を開始する。
根本治療
起炎菌と感受性が判明次第、最適な抗菌薬へ変更し、長期間(通常4〜6週間)の点滴静注を行う。心不全の進行、コントロール不能な感染、塞栓症の高リスク(大きな疣贅)などがある場合は、速やかに外科的治療(弁置換術や弁形成術)の適応となる。
病態
弁膜症や先天性心疾患などの基礎疾患により血流の異常(ジェット血流)が生じている部位や、人工弁に細菌が付着して増殖し、疣贅を形成する。これが破壊され血流に乗ることで全身に塞栓を来す。
原因
亜急性(数週〜数ヶ月で進行)は抜歯などを契機とする「緑色レンサ球菌(S. viridans)」が多く、基礎心疾患を持つ患者に好発する。急性(数日で進行)は静脈薬物乱用やカテーテル感染による「黄色ブドウ球菌(S. aureus)」が多く、正常な弁も破壊し劇症化する。また、消化器・尿路処置後には「腸球菌」が起炎菌となりやすい。
分類
進行速度によって急性IEと亜急性IEに分けられ、また自己弁か人工弁かでも分類される。
試験での重要ポイント
「原因不明の発熱+新たな心雑音(または雑音の増悪)」があればこの疾患を疑う。身体所見における塞栓症状(痛みのないJaneway病変)と免疫反応(痛みを伴うOsler結節、眼底のRoth斑)の鑑別は超頻出。診断には「抗菌薬投与前の複数回の血液培養」と「心エコー(とくに経食道心エコー:TEEが感度が高い)による疣贅の確認」が必須(Duke診断基準)。また、高リスク患者に対する「抜歯前の抗菌薬(アモキシシリン)予防投与」は最重要知識である。
覚え方・コツ
「IEのサイン:オスラー(O)は怒る(痛い)、ジェーンウェイ(J)はジンジンしない(痛くない)、眼底にロート(Roth)斑。抜歯前にはアモキシシリン!」と覚える。
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Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。