医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
関節が正常な位置関係を失った状態。日常診療と国試で重要なのは「肩関節脱臼」「小児の肘内障」「股関節脱臼」である。それぞれ特有の受傷機転と転位方向、および神経・血管損傷などの合併症を持つ。
激しい疼痛、関節の変形、弾発性固定(動かそうとしてもバネのように元の位置に戻ってしまう特有のサイン)。
肩関節脱臼:肩の丸みが消失し平坦になる。
肘内障:腕を軽く曲げたまま動かそうとしない(麻痺と見間違えないこと)。
股関節後方脱臼:患肢が短縮・内転・内旋位をとる(※大腿骨頸部骨折の外旋位とは逆)。
視診・触診:変形、弾発性固定の確認。
単純X線(2方向):脱臼の方向、合併する骨折(肩であればバンカート病変やヒル・サックス病変)の確認。※肘内障はX線所見なし。
神経学的所見:整復前・整復後の神経麻痺の有無を必ず確認する(腋窩神経、坐骨神経など)。
早期の用手整復:麻酔や鎮静・鎮痛下で、筋肉の緊張を解いてから速やかに元の位置に戻す。脱臼状態が続くと神経血管障害や骨頭壊死のリスクが高まる。
固定・安静:整復後は関節を安定させるため一定期間固定する(肩なら三角巾や外旋位固定)。
外科的治療:反復性脱臼(クセになる)に移行した場合や、骨折を伴い不安定な場合は、関節包や靭帯を縫合する手術(肩のバンカート修復術など)を行う。
肩関節脱臼
全脱臼の中で最も多い。手をついて転倒した際などに発生し、『前下方脱臼』が圧倒的多数を占める。整復法として『コッヘル法』が有名。合併症として、肩の側面(三角筋)の感覚を支配し腕を挙げる筋肉を動かす『腋窩神経の麻痺』が超頻出。
肘内障(ちゅうないしょう)
幼児(2〜5歳)が『親に手を強く引っ張られた』際に、橈骨頭が輪状靭帯から抜けかける(亜脱臼する)病態。子供は腕をダランと下げて動かさなくなる。X線では異常を認めない。前腕を回外させながら肘を屈曲させるとコクッと整復される。
股関節脱臼
非常に強い外力で発生する。自動車事故でダッシュボードに膝を打ち付けた際などに発生し、『後方脱臼』が大多数。大腿骨頭を栄養する血管が損傷するため『大腿骨頭壊死』のリスクがあり、早期の整復(24時間以内)が必要。合併症として、後方を走る『坐骨神経麻痺(足首が上に反らせなくなる:下垂足など)』が国試の定番。
覚え方・コツ
「脱臼の方向と神経障害はセットで暗記!
肩の脱臼=『前・下』にズレる。肩の横の『腋窩神経』が潰されて腕が上がらなくなる。
股関節の脱臼=『後ろ』にズレる(ダッシュボード損傷)。お尻を通る『坐骨神経』が潰されて足首が動かなくなる!
子供の肘内障=手を引っ張られて起こる。レントゲンは異常なし、泣き止むまでが整復!」
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大腿骨頸部骨折は、高齢者が転倒した際に生じやすい股関節の骨折。関節包(関節の袋)の「内側」で折れるため、骨頭を栄養する血流が絶たれやすく、「大腿骨頭壊死」や「偽関節(骨がくっつかない)」のリスクが極めて高い。寝たきりの原因となるため早期の手術が必要。
椎体圧迫骨折は、脊椎の椎体(主に前側)が潰れるように骨折する病態。骨粗鬆症の高齢者に好発し、尻餅をつくなどの軽微な外傷、あるいは自覚的な外傷なしで発症する。背中が丸くなる円背(亀背)の原因となる。
橈骨遠位端骨折は、手首の骨折であり、高齢の骨粗鬆症患者に多発する。手のひらをついて転倒した際に生じる「Colles(コーレス)骨折」が圧倒的に多く、遠位骨片が背側(手の甲側)へズレてフォーク状の変形を呈する。
臍ヘルニアは、へその輪(臍輪)が閉鎖不全や脆弱化により、腹腔内内容物が突出した状態である。小児の先天性と大人の後天性があり、大人では肝硬変による腹水や肥満が原因となることが多い。