肝膿瘍は、肝実質内に細菌や寄生虫が感染し、膿が貯留した局所感染症である。細菌が原因の「化膿性」と、赤痢アメーバが原因の「アメーバ性」に大別される。高熱と右季肋部痛を主徴とする。
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高熱(悪寒戦慄を伴う)、右季肋部痛(叩打痛)、肝腫大、全身倦怠感。
進行期:黄疸(胆道閉塞合併時)、腹水(稀)、右側胸水(炎症の波及)。
血液検査:白血球増多、CRP上昇。肝機能異常(ALP, γ-GTP上昇)。血清アメーバ抗体(アメーバ性)。
画像診断(必須):腹部エコー・CTで、肝臓内の低吸収域(膿瘍)。内部にガス像を認めることもある(化膿性)。
膿瘍穿刺(確定診断):膿の性状確認と培養(化膿性)。
共通:『膿瘍ドレナージ(経皮経肝的膿瘍ドレナージ:PTAD)』。針を刺して膿を排出し、洗浄する。
化膿性:感受性に基づいた『抗菌薬の点滴投与』を数週間行う。
アメーバ性:『メトロニダゾール』の経口・静注。※多くはドレナージなしでも薬だけで改善するが、巨大な場合はドレナージを併用する。
種類と特徴
①『化膿性肝膿瘍(最多)』:胆道感染(胆管炎など)からの波及が多い。原因菌は『大腸菌(E. coli)』や『肺炎桿菌(K. pneumoniae)』。糖尿病患者に好発し、しばしば多発性となる。
②『アメーバ性肝膿瘍』:『赤痢アメーバ』の経口感染。男性に多く、海外渡航歴やMSMが背景となることが多い。膿は『アンチョビペースト状(赤褐色)』で、細菌はいない(無菌的)のが特徴。単発・右葉に多い。
試験・臨床での重要ポイント
「高熱・右脇腹の痛み・肝腫大」を見たら、腹部エコーで内部に液体の貯留した『嚢胞性腫瘤』を確認する。化膿性の場合は「血液培養」と「ドレナージ」が必須。アメーバ性の場合は「血清アメーバ抗体」をチェックする。
覚え方・コツ
「肝膿瘍は『肝臓の中のデキモノ(膿の溜まり)』!糖尿病の人が熱を出して右腹が痛ければ化膿性(バイキン)。おしりの病気や海外旅行歴があって、アンチョビペーストみたいな膿が出ればアメーバ性。どちらも針を刺して膿を抜く(ドレナージ)のが一番の薬!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。