原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝内の小型胆管が自己免疫学的機序により破壊され、慢性的な胆汁うっ滞を来す指定難病である。中年以降の女性に好発し、皮膚掻痒感や無症候性の肝機能異常で発見されることが多い。CBTや医師国家試験では、特異的な自己抗体(抗ミトコンドリア抗体)や合併症、第一選択薬が毎年問われる超頻出疾患である。
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皮膚掻痒感(黄疸に先行して出現することが多い初期症状)
黄疸(進行期に出現。出現すると予後不良のサインとなる)
全身倦怠感
脂質異常症に伴う黄色腫(眼瞼黄色腫など。胆汁うっ滞による高コレステロール血症が原因)
骨粗鬆症・骨軟化症(胆汁うっ滞に伴う脂溶性ビタミンDの吸収不良による)
※初期(aPBC)は無症状のことが多い。
初期評価
健診での胆道系酵素(ALP、γ-GTP)の上昇や、中年女性の皮膚掻痒感から疑う。
検査
血液検査でALP、γ-GTPの著増、総コレステロール上昇、IgM高値を確認する。免疫学検査で「抗ミトコンドリア抗体(AMA)」または抗ミトコンドリアM2抗体の陽性を確認する(特異度が極めて高い)。確定診断や病期判定のために肝生検を行い、小葉間胆管の破壊像である「慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)」を確認する。※肝外胆管の閉塞(胆管結石など)を除外するため、腹部エコーなどの画像検査も必須である。
鑑別
原発性硬化性胆管炎(PSC:中年男性、p-ANCA陽性、数珠状の胆管狭窄)、自己免疫性肝炎(AIH:IgG高値、抗核抗体陽性)、薬剤性肝障害、閉塞性黄疸と鑑別する。
初期対応・内科的治療
胆汁の排泄を促進し、肝細胞障害を軽減するために「ウルソデオキシコール酸(UDCA)」の内服を第一選択として生涯継続する。UDCAで効果不十分な場合は、ベザフィブラート(高脂血症治療薬)を追加投与する。皮膚掻痒感に対しては、抗ヒスタミン薬やナルフラフィン塩酸塩(κオピオイド受容体作動薬)を用いる。
根本治療
内科的治療に抵抗性で、黄疸が進行し非代償性肝硬変や肝不全に至った場合は、「肝移植」の適応となる。
病態
自己免疫応答により肝臓内の微小〜中等大の胆管(小葉間胆管)が選択的に破壊される(慢性非化膿性破壊性胆管炎:CNSDC)。これにより胆汁がうっ滞し、進行すると胆汁性肝硬変、肝不全に至る。
原因
原因不明だが、自己免疫異常の関与が強く疑われている。シェーグレン症候群や慢性甲状腺炎(橋本病)、関節リウマチなどの自己免疫疾患を高率に合併する。
分類
症状の有無により、無症候性PBC(aPBC)と症候性PBC(sPBC)に分けられる。近年は健診の普及により無症候性が大半を占める。
試験での重要ポイント
「中年女性の皮膚掻痒感」または「健診でのALP・γ-GTP高値」があればこの疾患を疑う。血液検査での「抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性」および「IgM高値」は超頻出キーワード。病理検査(肝生検)での「慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)」も重要。治療の第一選択薬である「ウルソデオキシコール酸(UDCA)」は絶対に覚えるべき。鑑別でよく出るのは、同じ胆汁うっ滞性疾患で若年〜中年男性に多く、潰瘍性大腸炎(UC)に合併しやすい「原発性硬化性胆管炎(PSC)」や、IgG高値となる「自己免疫性肝炎(AIH)」である。
覚え方・コツ
「PBCは、ミセス(中年女性)のミトコンドリア(抗ミトコンドリア抗体)、IgM(M)、ウルソ(UDCA)でかゆみ(掻痒感)を抑える」と覚える。
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。