最終更新日: 2026年4月16日
アスクレピアで深掘りする急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は、数週から数ヶ月の短い期間で急速に腎機能が低下し、末期腎不全に至る予後不良の疾患群である。病理学的に糸球体に「半月体」を形成するのが特徴である。CBTや医師国家試験では、ANCA関連血管炎などの原因疾患の鑑別や、ステロイドパルスを中心とする強力な初期治療が毎年問われる超頻出疾患である。
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腎不全症状(乏尿、浮腫)
全身の炎症症状(発熱、全身倦怠感、体重減少)
肉眼的血尿(コーラ色・ワイン色の尿)
肺病変を合併した場合の症状(血痰、喀血、息切れ:グッドパスチャー症候群やANCA関連血管炎などによる肺胞出血)
初期評価
急激な体調不良や乏尿、感冒様症状の後に赤血球尿(変形赤血球、赤血球円柱)とBUN・Crの急速な上昇を認めた場合に強く疑う。
検査
血液検査で腎機能低下、CRP上昇を確認し、原因検索のためにMPO-ANCA、PR3-ANCA、抗GBM抗体、抗核抗体、補体価(CH50・C3)を測定する。肺病変の有無を確認するため胸部CTを実施する(肺胞出血の場合はすりガラス陰影)。確定診断のため、早期に腎生検を実施し、半月体形成(半月体形成性糸球体腎炎)を確認する。ただし、全身状態が悪く腎生検が困難な場合は、臨床所見と自己抗体から推定診断し治療を先行する。
鑑別
急性糸球体腎炎(AGN:経過が数日とより急激で、通常は自然軽快する。低補体血症を伴う)、急性腎障害(AKI:腎前性・腎後性や薬剤性急性間質性腎炎などを除外する)と鑑別する。
初期対応・根本治療
腎機能の不可逆的な喪失や死亡を防ぐため、診断(または強い疑い)がつき次第、直ちに「副腎皮質ステロイド・パルス療法(メチルプレドニゾロン大量静注)」を開始する。これに加えて、シクロホスファミドやリツキシマブなどの免疫抑制薬を併用する(寛解導入療法)。
特殊療法
肺胞出血を伴う重症例や抗GBM抗体型(グッドパスチャー症候群)に対しては、病因抗体や炎症物質を直接除去する「血漿交換療法」を併用する。
腎不全期の加療
すでに不可逆的な末期腎不全に至っている場合や、高度の尿毒症・体液貯留がある場合は、血液透析を導入する。
病態
糸球体毛細血管の高度な炎症と破壊により、血液成分(フィブリンやマクロファージなど)がボウマン囊内に漏出し、ボウマン囊上皮細胞が増殖して三日月状の「半月体(crescent)」を形成する。これが糸球体を圧迫・虚血させ、急速な腎機能廃絶を招く。
原因と分類
蛍光抗体法(IF)での免疫グロブリン等の沈着パターンにより3つに大別される。
免疫沈着陰性(pauci-immune型):ANCA関連血管炎(MPA、GPA、EGPA)。日本人のRPGNで最も多い。
線状沈着(linear型):抗GBM抗体病(グッドパスチャー症候群など)。
顆粒状沈着(granular型):免疫複合体型(ループス腎炎、IgA腎症、感染後腎炎などの重症例)。
試験での重要ポイント
「血尿・蛋白尿」+「数週間〜数ヶ月単位でのBUN・Crの急速な上昇」があれば本疾患を疑う。腎生検における「半月体形成」は必須キーワード(細胞性→線維細胞性→線維性へと進行する)。鑑別診断のために「MPO-ANCA(p-ANCA)」「PR3-ANCA(c-ANCA)」「抗GBM抗体」の測定結果が必ず問われる。また、肺出血(血痰・喀血)を合併する「肺腎症候群」の病態も超頻出である。
覚え方・コツ
「RPGNは急いで(急速進行性)半月(半月体)を見る。抗体なし(ANCA)、線状(GBM)、ツブツブ(免疫複合体)の3パターン。治療は待ったなしのステロイドパルス!」と覚える。
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微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)は、小児の原発性ネフローゼ症候群の大部分を占める疾患である。急激に発症する高度の蛋白尿と全身性浮腫を特徴とする。光学顕微鏡では糸球体に異常を認めないが、電子顕微鏡でポドサイト(上皮細胞足突起)の癒合・消失を認める。ステロイドが著効するが再発しやすく、CBTや医師国家試験の小児科・腎臓分野において毎年問われる超頻出疾患である。
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は、糸球体基底膜の肥厚とメサンギウム細胞の増殖を特徴とする難治性の糸球体疾患である。蛋白尿と血尿が同時にみられ、ネフローゼ症候群と腎炎の両方の性質を持つ。C型肝炎ウイルス(HCV)感染に合併しやすく、CBTや医師国家試験では特徴的な病理所見(軌道状・二重輪郭)や低補体血症が毎年問われる頻出疾患である。
膜性腎症(MN)は、成人の原発性ネフローゼ症候群の原因として最も頻度が高い疾患である。糸球体基底膜の上皮側に免疫複合体が沈着し、基底膜が肥厚することで大量の蛋白尿を来す。中高年に好発し、悪性腫瘍などを背景とする二次性のものが含まれるため全身検索が必須である。CBTや医師国家試験では、特徴的な病理所見(スパイク形成など)や、微小変化型(MCNS)との鑑別が毎年問われる超頻出疾患である。
アルポート症候群は、IV型コラーゲンの遺伝子変異により、腎臓、内耳、眼の基底膜に異常を来す遺伝性疾患である。幼児期からの血尿で発症し、進行性の腎機能障害、感音難聴、眼合併症(円錐水晶体など)を特徴とする。大部分がX連鎖遺伝であり、CBTや医師国家試験では、電子顕微鏡での基底膜の「網目状(basket-weave)変化」や、男児の難聴・血尿の家族歴が頻出である。