亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染が先行することが多い甲状腺の炎症性疾患である。甲状腺濾胞の破壊による一過性の甲状腺中毒症(FT4高値・TSH低値)と、強い前頸部痛、発熱を特徴とする。CBTや医師国家試験では、無痛性甲状腺炎やバセドウ病との鑑別(特に放射性ヨード取り込み率の低下、赤沈の著明亢進)や、ステロイドの著効が毎年問われる超頻出疾患である。
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局所症状:前頸部の強い自発痛・圧痛(耳や下顎へ放散することがある)、甲状腺の硬く触れる腫瘤。痛む場所が移動する「クリーピング(creeping)」を認めることがある。
全身の炎症症状:発熱(38℃以上になることも)、全身倦怠感。
甲状腺中毒症状:動悸、多汗、体重減少、手指振戦(ホルモン漏出による一過性の症状。数週〜数ヶ月で自然に低下し、一過性の低下症を経て正常化する)。
初期評価
上気道炎先行の有無、発熱と甲状腺の強い圧痛から疑う。
検査
血液検査でFT4高値・TSH低値を確認する。濾胞破壊を反映して甲状腺グロブリンも高値となる。炎症反応としてCRP上昇、赤沈の著明亢進を認める(白血球数は正常〜軽度上昇にとどまることが多い)。甲状腺超音波検査で、圧痛部に一致した「境界不明瞭な低エコー領域」を認める。シンチグラフィでは、濾胞細胞の機能停止により「放射性同位元素(IやTc)の取り込み低下」を示す。
鑑別
バセドウ病(痛みなし、炎症反応なし、取り込み率上昇、TRAb陽性)、無痛性甲状腺炎(自己免疫性による破壊。痛みなし、炎症反応なし)、急性化膿性甲状腺炎(細菌感染、著明な白血球増加、左葉に多い)と鑑別する。
対症療法(自然寛解する疾患であるため)
軽症例(痛みや発熱が軽い)では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を投与し経過観察する。
中等症〜重症例(疼痛が激しい、高熱がある)では、副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)の内服が第一選択となる。投与後数日で劇的に症状が改善するが、再燃を防ぐため数ヶ月かけて漸減する。
動悸や手指振戦などの甲状腺中毒症状に対しては、β遮断薬を使用する。
※抗甲状腺薬(チアマゾールやプロピルチオウラシル)は、ホルモン合成が亢進しているわけではないため「無効(適応外)」である点に絶対注意。
病態
上気道炎などに引き続いて甲状腺組織が炎症・破壊され、濾胞内に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血中に漏れ出す(破壊性甲状腺中毒症)。血中ホルモンは過剰になるが、甲状腺自体はダメージを受けており、かつTSH低下による抑制もかかるため、新たなホルモン合成は休止状態となる。
試験での重要ポイント
「かぜ症状の数週間後に、発熱と前頸部痛(痛む場所が移動する:遊走性)が出現した」というエピソードが典型的。血液検査では、破壊による「FT4高値・TSH低値」に加え、「CRP上昇・赤沈の著明亢進」という強い炎症反応を認めるのが無痛性甲状腺炎との最大の鑑別点である。また、バセドウ病との鑑別において、甲状腺シンチグラフィでの「放射性ヨード(またはテクネチウム)取り込み率の低下(真っ白に抜ける)」が極めて重要。治療において、ホルモン合成が亢進しているわけではないため「抗甲状腺薬(チアマゾールなど)は無効」であり、症状が強い場合は副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)が劇的に効く点が頻出である。
覚え方・コツ
「亜急性は、かぜの後に首が痛くて熱が出る(炎症+)。壊れたところからホルモンが漏れてバセドウっぽくなるが、工場は休んでいるからヨードは取り込まない(取り込み↓)。抗甲状腺薬は効かず、痛い時はステロイドが著効!」と覚える。
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アジソン病は、副腎皮質が慢性的に破壊され、副腎皮質ホルモン(コルチゾールやアルドステロンなど)が分泌できなくなる指定難病である。全身の倦怠感や体重減少、皮膚の色素沈着を特徴とし、重症化すると致死的な副腎クリーゼを来す。CBTや医師国家試験では、ホルモン欠乏による多彩な症状や検査所見が頻出の重要疾患である。
アルポート症候群は、IV型コラーゲンの遺伝子変異により、腎臓、内耳、眼の基底膜に異常を来す遺伝性疾患である。幼児期からの血尿で発症し、進行性の腎機能障害、感音難聴、眼合併症(円錐水晶体など)を特徴とする。大部分がX連鎖遺伝であり、CBTや医師国家試験では、電子顕微鏡での基底膜の「網目状(basket-weave)変化」や、男児の難聴・血尿の家族歴が頻出である。
フィッシャー症候群は、風邪や胃腸炎などの先行感染後に免疫異常が生じ、脳神経や末梢神経が障害される疾患である。「外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失」の三徴を特徴とし、ギラン・バレー症候群の類縁疾患とされる。CBTや医師国家試験の神経分野において、三徴の暗記や自己抗体の名称が頻出の重要疾患である。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、自己抗体によって甲状腺が過剰に刺激され、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患である。動悸、体重減少、手の震え、多汗などを特徴とし、放置すると甲状腺クリーゼという致死的な状態を招く恐れがある。CBTや医師国家試験の内分泌分野において毎年問われる超頻出の重要疾患である。