潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸の粘膜に慢性の炎症と潰瘍を生じる原因不明の指定難病である。若年者に好発し、粘血便、下痢、腹痛を伴う再燃と寛解を繰り返す。CBTや医師国家試験では、クローン病(CD)との鑑別、特徴的な内視鏡所見や注腸造影所見、重大な合併症(中毒性巨大結腸症や大腸癌)が毎年問われる超頻出疾患である。
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粘血便・血便(最も特徴的かつ必発の症状)
慢性的な下痢
渋り腹(テネスムス:便意があるのに出ない、排便後も残便感がある)
腹痛(下腹部痛が多い)
発熱、体重減少、貧血(重症例)
腸管外合併症(結節性紅斑、壊疽性膿皮症、虹彩炎、関節炎など)
初期評価
若年者の長引く下痢と粘血便から疑う。まず、感染性腸炎(カンピロバクター、サルモネラ、O157、アメーバ赤痢など)を除外するための便培養・便検査が必須である。
検査
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)で、直腸から連続する粘膜の浮腫、発赤、血管透見像の消失、粗造な粘膜(びらん・潰瘍)、偽ポリポーシスを確認する。注腸X線造影ではハウストラの消失(鉛管像)がみられる。生検組織診で、好中球浸潤による陰窩膿瘍(crypt abscess)や、杯細胞の減少を確認する。
鑑別
クローン病(CD:非連続性・跳躍性病変、縦走潰瘍、敷石像、非乾酪性肉芽腫、全層性炎症)、感染性腸炎、虚血性腸炎、薬剤性腸炎と鑑別する。
初期対応・内科的治療
活動期の第一選択は、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(メサラジン、サラゾスルファピリジン)の内服・注腸・坐剤である。中等症〜重症例や難治例には、副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)の全身投与、免疫調節薬(アザチオプリン)、血球成分除去療法(CAP)、生物学的製剤(抗TNF-α抗体:インフリキシマブなど)、JAK阻害薬などを使用する。
外科的治療
中毒性巨大結腸症(ステロイド・下痢止め等は禁忌・無効なことが多い)、穿孔、大量出血、癌化、あるいは内科的治療が無効な重症例では、外科的「大腸全摘術」の適応となる(UCは病変が大腸に限局するため、全摘により根治が可能である点がCDと異なる)。
病態
大腸の粘膜および粘膜下層(浅い層)を侵す、びまん性・連続性の非特異性炎症性腸疾患(IBD)である。免疫異常や腸内細菌叢の乱れなどが関与しているとされる。
原因
原因不明(遺伝的素因、自己免疫、食生活などの環境因子が複合的に関与)。
分類
病変の広がりにより、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型に分類される。
試験での重要ポイント
「直腸から連続性に広がる粘血便」があればこの疾患を強く疑う。病変は「粘膜・粘膜下層」にとどまり、全層性ではない。内視鏡での「血管透見像の消失」「偽ポリポーシス」「陰窩膿瘍(crypt abscess)」「杯細胞の減少」、注腸造影での「ハウストラの消失(鉛管像:lead pipe appearance)」は超頻出キーワード。合併症としての「中毒性巨大結腸症(緊急手術適応)」「大腸癌(長期罹患でリスク増)」「原発性硬化性胆管炎(PSC)」も重要である。最大のテーマはクローン病(CD)との鑑別(非連続性、全層性、肉芽腫、小腸病変、痔瘻などの有無)である。
覚え方・コツ
「UCは、下から(直腸から)ベタっと(連続性)浅く(粘膜層)広がる血便。鉛管像と偽ポリープで、最後は癌化や巨大結腸に注意」と覚える。
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。