ウィップル病は、Tropheryma whippleiという細菌の感染による稀な全身性・慢性感染症である。腸管マクロファージへの菌の蓄積により重度の吸収不良症候群をきたすほか、関節炎や中枢神経症状を合併する。
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消化器症状:慢性下痢、脂肪便、著明な体重減少、腹痛(吸収不良症候群)
関節症状:移動性の多発性大関節炎(消化器症状より何年も前に先行することが多い)
全身症状:発熱、リンパ節腫脹、色素沈着
中枢神経・眼症状:眼球咀嚼筋律動、認知機能低下、眼筋麻痺、ミオクローヌス
循環器症状:心内膜炎
初期評価
原因不明の吸収不良症候群と関節炎の合併から疑う。
検査
上部消化管内視鏡検査を行い、十二指腸・空腸粘膜の生検を実施する。病理組織で『PAS染色強陽性の泡沫状マクロファージの集簇』を証明する。確定診断として、組織や髄液を用いたPCR法でT. whippleiのDNAを検出する。
治療
抗菌薬の長期投与が必要。中枢神経系への移行性が良い抗菌薬を使用する(中枢神経での再発を防ぐため)。初期治療としてセフトリアキソンやペニシリンGの静注を2〜4週間行い、その後、維持療法として『ST合剤(トリメトプリム・スルファメトキサゾール)』の内服を1〜2年間継続する。
病態
放線菌の一種である T. whipplei が小腸粘膜固有層に感染し、マクロファージ内に充満してリンパ管を閉塞させることで、重度の脂肪などの吸収障害を引き起こす。血流に乗って関節や心臓、中枢神経系にも感染する。
試験・臨床での重要ポイント
中高年の白人男性に多い。「数年前から移動性の関節痛があり、最近になって慢性の下痢や体重減少(吸収不良症候群)が出てきた」というエピソードが典型的。画像・病理問題として、上部消化管内視鏡検査による十二指腸・空腸生検で、『PAS染色陽性のマクロファージ』が粘膜固有層に充満している所見が絶対暗記キーワード。眼球運動に伴って咀嚼筋が同期してピクつく『眼球咀嚼筋律動(oculomasticatory myorhythmia)』は本症に極めて特異的な中枢神経症状である。
覚え方・コツ
「ウィップル病は、バイキン(T. whipplei)がお腹の栄養吸収を邪魔する病気。長引く下痢と関節痛のコンボ。内視鏡で腸の粘膜を採ってPAS染色をすると、バイキンを食いすぎたマクロファージが赤紫色に染まる(PAS陽性マクロファージ)!抗菌薬の長期戦で治す。」
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Menetrier病は、原因不明(一部TGF-αなどの過剰発現)により胃底腺の粘液細胞が過形成を起こし、胃のひだ(巨大皺襞)が異常に肥厚する疾患である。大量の粘液分泌に伴いタンパク質が胃内へ漏出し、低タンパク血症(浮腫)をきたす。
Gilbert症候群は、肝細胞におけるビリルビン抱合酵素の遺伝的活性低下により、軽度の間接(非抱合型)ビリルビン優位の高ビリルビン血症をきたす体質性黄疸である。健常人の数%に見られる良性疾患であり、治療は不要である。
Dubin-Johnson症候群は、肝細胞で抱合された直接ビリルビンを胆汁中へ排泄するトランスポーターの遺伝的欠損により、直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症をきたす体質性黄疸である。腹腔鏡での「黒色肝」が超頻出キーワード。
慢性膵炎は、長期間にわたる持続的な炎症により膵組織が不可逆的に破壊され、線維化や石灰化をきたす疾患である。アルコール多飲が最大の原因であり、進行すると膵機能が低下する。CBTや医師国家試験では、膵石症の合併や、代償期と非代償期の症状の違い、脂肪便や糖尿病の出現が超頻出の重要疾患である。