ケタミンはNMDA受容体を非競合的に遮断し、解離性麻酔と強い鎮痛をもたらす静脈麻酔薬である。自発呼吸と循環を比較的保つが、血圧上昇、流涎、覚醒時反応に注意する。
ケタラール
静脈麻酔薬
NMDA型グルタミン酸受容体のチャネル内部へ結合し、非競合的に遮断する。視床と大脳皮質の連絡を機能的に解離させ、眼振、開眼、筋緊張を保ちながら外界への反応と疼痛認知が失われる解離性麻酔を起こす。脊髄後角での中枢性感作を抑え、低用量でも強い鎮痛作用を示す。交感神経終末からのカテコールアミン放出と再取り込み抑制により、心拍数、血圧、心拍出量を増加させる。気管支平滑筋を弛緩させ、一般に自発呼吸と咽頭・喉頭反射を比較的保つが、完全に安全なわけではない。
全身麻酔の導入・維持、短時間処置、救急外来での処置時鎮静、外傷患者の鎮痛、熱傷処置、小児処置などに用いられる。循環血液量減少や低血圧を伴う患者では、血圧を保ちやすい点が有利となる。気管支拡張作用があるため、重症喘息患者の麻酔や鎮静で選択されることがある。低用量投与は難治性疼痛やオピオイド耐性疼痛の補助療法に用いられる場合がある。使用時は酸素投与、吸引、気道確保、循環管理が可能な環境を整える。
血圧上昇、頻脈、心筋酸素需要増加、悪心、嘔吐、流涎がみられる。覚醒時に悪夢、幻覚、錯乱、不安、興奮などの覚醒時反応を起こすことがあり、成人で目立ちやすい。眼振、筋緊張亢進、不随意運動がみられるが、必ずしも麻酔不十分を意味しない。自発呼吸は比較的保たれるものの、急速投与や他の鎮静薬併用では無呼吸、喉頭痙攣、気道閉塞を起こし得る。反復・長期使用では膀胱炎、胆道障害、肝障害、依存・乱用が問題となる。
ベンゾジアゼピン系薬、プロポフォール、オピオイド、吸入麻酔薬との併用で鎮静と呼吸抑制が増強する。ベンゾジアゼピン系薬は覚醒時反応を軽減することがあるが、呼吸抑制を増やす。交感神経刺激薬や甲状腺ホルモンとの併用では血圧上昇と頻脈が増強する可能性がある。降圧薬やカテコールアミン枯渇状態では、予想に反して血圧低下や心機能抑制が現れることがある。
血圧上昇が重大な危険となるコントロール不良の高血圧、重篤な虚血性心疾患、大動脈解離、重篤な心不全などでは原則として使用を避ける。本剤への過敏症がある患者には投与しない。眼圧上昇が問題となる病態、精神病性障害、甲状腺機能亢進症、頭蓋内病変では、症例ごとに利益と危険性を評価する。カテコールアミンが枯渇した重症ショックでは、ケタミン自体の心筋抑制作用が表面化する可能性がある。
NMDA受容体を非競合的に遮断する解離性麻酔薬で、他の静脈麻酔薬と異なり強い鎮痛作用を持つ。交感神経刺激により血圧・心拍数を上昇させ、自発呼吸と気道反射を比較的保ち、気管支を拡張する。低血圧外傷患者や喘息患者で有利となる。流涎、眼振、筋緊張、悪夢・幻覚などの覚醒時反応が特徴である。重症ショックでカテコールアミンが枯渇している場合は心筋抑制に注意する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。