医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
自己免疫性肝炎(AIH)は、肝細胞に対する自己免疫応答により慢性的な肝炎を来す指定難病である。中年以降の女性に好発し、放置すると肝硬変や肝不全に進行する。CBTや医師国家試験では、PBCとの鑑別、高IgG血症や抗核抗体陽性、ステロイドの著効が毎年問われる超頻出疾患である。
全身倦怠感・疲労感(初期に多い)
黄疸、褐色尿
食欲不振、嘔気
関節痛、発熱(急性肝炎様の発症形式をとることもある)
※無症状のまま健診でAST・ALTの異常を指摘されて発見されるケースも極めて多い。
初期評価
中年女性のAST・ALT優位の肝機能異常から疑い、まずは頻度の高いウイルス性肝炎(B型・C型など)、アルコール性、薬剤性肝障害、脂肪肝(NAFLD/NASH)を除外することが大前提である。
検査
血液検査でトランスアミナーゼ(AST、ALT)の上昇、「IgG高値(2,000mg/dL以上など)」、「抗核抗体(ANA)陽性」を確認する。確定診断のために肝生検を実施し、形質細胞の浸潤、ロゼット形成、インターフェイス肝炎を証明する。
鑑別
原発性胆汁性胆管炎(PBC:IgM高値、抗ミトコンドリア抗体陽性、ALP・γ-GTP優位の上昇)、急性ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害と鑑別する。※AIHとPBCがオーバーラップする症例もある。
初期対応・内科的治療
炎症を鎮め、肝硬変への進行を防ぐための第一選択薬は「副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)」の内服である。AIHに対してはステロイドが極めてよく効く(著効する)のが特徴である。維持期にはステロイドを漸減し、必要に応じて免疫抑制薬(アザチオプリンなど)を併用する。
根本治療
内科的治療に抵抗性で劇症化(急性肝不全)した場合や、末期の非代償性肝硬変に至った場合は、「同種肝移植」の適応となる。
病態
本来は外敵を攻撃する免疫系が誤って自身の肝細胞を攻撃し、持続的な炎症(肝炎)を引き起こす。
原因
原因不明であるが、遺伝的素因(HLA-DR4など)に何らかの環境因子(ウイルス感染や薬剤など)が加わって発症すると考えられている。他の自己免疫疾患(慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、関節リウマチなど)の合併が多い。
分類
抗核抗体や平滑筋抗体が陽性となる「1型(日本人の大半)」と、抗LKM-1抗体が陽性となる「2型(欧米の若年者に多い)」がある。
試験での重要ポイント
「中年女性の肝機能障害(AST・ALT優位の上昇)」があれば本疾患を疑う。血液検査での「IgGの著増」および「抗核抗体(ANA)陽性」は超頻出キーワード。病理組織(肝生検)における「門脈域への形質細胞浸潤」と「インターフェイス肝炎(限界板の破壊:piecemeal necrosis)」も重要。治療において「副腎皮質ステロイドが著効する」点が最大のポイントである。鑑別でよく出るのは、同じく中年女性に多いが胆道系酵素(ALP、γ-GTP)とIgMが上昇し、抗ミトコンドリア抗体が陽性となる「原発性胆汁性胆管炎(PBC)」である。
覚え方・コツ
「AIHは、愛(AI)情(IgG)たっぷりのステロイドで、カク(抗核抗体)実に良くなるミセス(中年女性)」と覚える。
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。