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自己免疫性膵炎(AIP)は、自己免疫学的機序により膵臓が腫大し、膵管の狭窄をきたす疾患である。IgG4関連疾患の代表的な膵病変であり、高齢男性の無痛性黄疸で発症することが多い。CBTや医師国家試験では、膵癌との鑑別や、特異的な画像所見(ソーセージ様腫大)、ステロイドの著効が頻出の重要疾患である。
無症状(健診のエコーや血液検査で偶然発見されることも多い)
無痛性黄疸(腫大した膵頭部による下部胆管の狭窄)
上腹部不快感、軽度の腹痛(急性膵炎のような激痛は稀)
糖尿病の新規発症、または悪化
口渇、眼乾燥(涙腺・唾液腺炎の合併時)
初期評価
無痛性黄疸や糖尿病の悪化、超音波での膵腫大から疑う。膵癌との鑑別が必須である。
検査
血液検査で「IgG4 ≧ 135 mg/dL」を確認する。腹部造影CTやMRIで膵臓の「ソーセージ様腫大」と周囲の「被膜様構造(capsule-like rim)」を確認する。ERCP・MRCPで主膵管の「広範な不規則狭細化」を確認する。確定診断と膵癌の除外には、EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)による組織学的証明(IgG4陽性形質細胞の浸潤、花むしろ状線維化など)が有用である。
鑑別
鑑別で絶対に出るのは「膵癌」である。膵癌は主膵管が局所的に途絶し、その尾側の主膵管が著明に拡張する(AIPは全体が細くなる)点が決定的な違いである。
初期対応
黄疸が強い場合や胆管炎を合併している場合は、内視鏡的胆道ドレナージ(ERBDなど)による減黄を先行させる。
根本治療
第一選択は「経口副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)」である。導入後、数週間で膵腫大や主膵管の狭窄が劇的に改善する。その後は再発を防ぐため、数ヶ月から数年かけて慎重にステロイドを漸減し、維持療法を行う。膵癌と異なり外科的切除は行わない。
病態
自己免疫異常により、膵臓に著明なリンパ球やIgG4陽性形質細胞が浸潤し、線維化や閉塞性静脈炎を伴って膵臓全体が腫大する病態である。
原因
自己免疫学的機序が想定されているが、詳細な原因は不明。日本の症例の大半は高齢男性に好発する1型(IgG4関連)である。
分類
日本人に多くIgG4高値と他臓器病変を伴う「1型」と、欧米に多く潰瘍性大腸炎などに合併しやすい「2型」に大別される。
試験での重要ポイント
「高齢男性の無痛性黄疸」や糖尿病の増悪で発症し、症状と画像が似る『膵癌との鑑別』が最大のテーマとなる。血液検査での「IgG4高値(≧135mg/dL)」、造影CTでの「膵臓のソーセージ様腫大(sausage-like appearance)」および「被膜様構造(capsule-like rim)」、ERCPでの「主膵管の不規則な細狭(狭細化)」は絶対暗記キーワードである。硬化性胆管炎、涙腺・唾液腺炎(Mikulicz病)、後腹膜線維症などの他臓器病変の合併も頻出。治療は「ステロイドが著効」し、手術は適応外である。
覚え方・コツ
「AIP(1型)は、高齢おじいちゃんのIgG4(ジージが4人)。膵臓がソーセージみたいに腫れるけど、ステロイドでシュッと治る!膵ガンと間違えて手術するな危険!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。