非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、明らかな飲酒歴がないにもかかわらず肝臓に脂肪が蓄積する疾患である。そのうち進行性で炎症や線維化を伴うものを非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ぶ。メタボリックシンドロームを背景とし、無症状のまま肝硬変や肝細胞癌へ進行するため、CBTや医師国家試験でも極めて頻出の重要疾患である。
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無症状(大半は健診の肝機能異常で偶然発見される)
全身倦怠感、易疲労感
右上腹部不快感
黄疸、腹水、浮腫、クモ状血管腫(肝硬変へ進行した場合)
初期評価
健診でのALT優位の肝機能障害や、肥満・糖尿病などのメタボリックシンドロームの合併から疑い、問診で飲酒歴がないことを確認する。
検査
腹部超音波(エコー)検査で、肝臓が腎臓よりも白く見える「肝腎コントラスト陽性」や「深部エコーの減衰」を確認する。血液検査では、病態進行に伴う血小板数の低下や、ヒアルロン酸・Ⅳ型コラーゲン・Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)の上昇で線維化を評価する。確定診断とNAFL/NASHの鑑別には肝生検が必須である。
鑑別
鑑別でよく出るのは、アルコール性肝障害(AST優位、γ-GTP著増、大酒家)、ウイルス性肝炎(HCVやHBV)、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)である。
初期対応
背景にあるメタボリックシンドロームに対する食事療法・運動療法による「減量(体重の7〜10%減が目標)」が最も重要である。
根本治療
薬物療法として、酸化ストレスを抑えるビタミンEや、糖尿病合併例に対するインスリン抵抗性改善薬(ピオグリタゾン、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬など)が有効とされる。肝硬変へ進行した場合は肝不全に対する治療や、定期的な画像検査による肝細胞癌(HCC)のスクリーニングを継続する。末期重症例では肝移植が適応となることがある。
病態
肝細胞への過剰な脂肪沈着(単純性脂肪肝:NAFL)を基盤として、酸化ストレスやインスリン抵抗性などの「second hit」が加わることで、炎症や肝細胞の風船様腫大(ballooning)、線維化を伴うNASHへと進行する(two-hit theory)。近年は代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD/MASH)という新呼称も提唱されている。
原因
肥満、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧といったメタボリックシンドロームが最大の原因である。
分類
予後良好で進行しない「NAFL(単純性脂肪肝)」と、放置すれば肝硬変や肝細胞癌へ進行する「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」に大別される。
試験での重要ポイント
「飲酒歴がない(純エタノール換算で男性30g/日、女性20g/日以下)肥満患者の肝障害」があればこの疾患を疑う。血液検査での「AST < ALT」が初期の特徴だが、NASHから肝硬変へ進行すると「AST > ALT」に逆転する点が超頻出である。確定診断には肝生検が必須であり、病理所見での「肝細胞の風船様腫大(ballooning)」「Mallory-Denk小体」「中心静脈周囲の線維化(perivenular fibrosis)」は毎年問われる。
覚え方・コツ
「NASH(ナッシュ)は下戸(飲酒なし)のメタボがなる肝硬変。エコーで白く光る肝臓(肝腎コントラスト)を確認し、確定は針を刺して(肝生検)、風船(ballooning)とマロリー小体を探せ!」
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上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。