von Hippel-Lindau病(VHL病)は、第3染色体にあるVHLがん抑制遺伝子の変異により、全身の多臓器に血管芽腫や多発性囊胞、悪性腫瘍を合併する常染色体顕性(優性)遺伝疾患。中枢神経・網膜の血管芽腫、腎細胞癌、褐色細胞腫が三大病変として重要である。
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小脳血管芽腫:頭痛、めまい、小脳失調(ふらつき)、頭蓋内圧亢進症状。
網膜血管芽腫:視力低下、視野欠損、網膜剥離。
腎細胞癌:初期は無症状。進行すると血尿、側腹部痛、腹部腫瘤。
褐色細胞腫:発作性の高血圧、動悸、頭痛、発汗。
その他:膵神経内分泌腫瘍(PanNET)や膵囊胞、内リンパ囊腫による難聴。
家族歴の聴取(常染色体顕性遺伝)。
画像診断:造影MRI/CTで、小脳や脊髄の『囊胞と造影される壁在結節(血管芽腫)』、多発する腎囊胞と『腎細胞癌』、副腎腫大(褐色細胞腫)、膵囊胞を確認。
眼底検査:網膜の血管芽腫の確認。
遺伝子検査:VHL遺伝子(3p25-26)の変異を証明。
サーベイランス(最重要):定期的なMRI、エコー、眼底検査、尿中カテコールアミン測定等を生涯にわたり行い、腫瘍を早期発見する。
外科的治療:
小脳血管芽腫:症候性になれば外科的摘出。
腎細胞癌:腎機能を温存するため、腫瘍径が3cmに達した段階で『腎部分切除術』や凍結療法を行う。
褐色細胞腫:α遮断薬投与後に腹腔鏡下副腎摘出術。
薬物療法:近年、HIF-2α阻害薬(ベルズチファン)がVHL病に伴う腎細胞癌等に承認され、パラダイムシフトが起きている。
病態
VHLタンパク質の機能不全により、低酸素誘導因子(HIF)が過剰に蓄積し、血管内皮増殖因子(VEGF)などが大量に産生される。これにより、血管が極めて豊富な腫瘍が全身に多発する。
試験・臨床での重要ポイント
国試やCBTでは合併する腫瘍の組み合わせが超頻出。
①『小脳・脊髄の血管芽腫(網膜血管腫も含む)』:小脳腫瘍では囊胞壁に造影される「壁在結節」を持つのが画像所見の特徴。
②『淡明細胞型腎細胞癌(ccRCC)と多発腎囊胞』:若年発症で両側性・多発性になりやすい。
③『褐色細胞腫』:多発性・両側性・腎外性に発生しやすい。
これら「目・脳・腎臓・副腎」の病変が家族内で多発しているエピソードが出題される。
覚え方・コツ
「VHL病は『第3染色体の異常で、全身に血管の塊(ガン)ができる遺伝病』!合併症の三大トップは『①小脳・網膜の血管芽腫』『②腎細胞ガン』『③褐色細胞腫』!網膜がやられて目が見えなくなり、小脳の腫瘍でフラフラになり、腎臓ガンが命を脅かし、褐色細胞腫で血圧がバク上がりする。生涯にわたる全身のがん検診(サーベイランス)が必須の病気だ!」
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脳炎は、ウイルスなどが直接脳実質に感染して急性の炎症を引き起こす疾患。日本脳炎など様々あるが、日常診療と国試で圧倒的に重要なのが「単純ヘルペスウイルス(HSV)脳炎」である。側頭葉や前頭葉下部を好んで破壊し、致死率も高い。
脳膿瘍は、脳実質内に細菌が感染・増殖し、被膜に覆われた膿の塊(膿瘍)を形成する疾患。副鼻腔炎や中耳炎などからの直接波及や、先天性心疾患(右左シャント)による血行性感染が原因となり、頭蓋内圧亢進症状をきたす。
てんかんは、大脳のニューロンが過剰に興奮する(てんかん性放電)ことで、反復性の発作をきたす慢性脳疾患。脳の「一部(局所)」から始まる【焦点性発作】と、最初から脳の「全体」が興奮する【全般性発作】に大別され、発作型によって抗てんかん薬を使い分ける。
脳動静脈奇形(AVM)は、脳の動脈と静脈が正常な毛細血管網を介さずに、ナイダス(nidus)と呼ばれる異常な血管の塊を介して直接つながっている先天性の血管奇形である。若年者の脳出血や、てんかん発作の重要な原因となる。