最終更新日: 2026年4月16日
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
ウィルソン病は、先天的な銅代謝の異常により、肝臓、脳(大脳基底核)、角膜などの全身諸臓器に過剰な銅が蓄積する疾患である。若年性の肝機能障害、不随意運動などの神経症状、角膜のKayser-Fleischer輪を特徴とする。CBTや医師国家試験では、検査値の解釈(セルロプラスミン低下)や治療薬の選択が毎年問われる超頻出の指定難病である。
肝機能障害(黄疸、肝腫大、肝硬変。急性発症の劇症肝炎型もある)
錐体外路症状(手指振戦、ジストニア、動作緩慢、構音障害、特有の固定した笑顔)
Kayser-Fleischer(カイザー・フライシャー)輪(角膜周囲の緑褐色〜黄金色の沈着)
精神症状(抑うつ、性格変化、情緒不安定)
Fanconi(ファンコニ)症候群(近位尿細管障害によるアミノ酸尿・糖尿・低リン血症など)
初期評価
問診で若年からの肝障害や神経症状、家族歴を確認。眼科診察(スリットランプ)で角膜周囲の銅沈着を確認する。
検査
血液:血清セルロプラスミン低下(<20mg/dL)、血清総銅量低下、血清直接銅上昇。
尿:24時間尿中銅排泄量増加(>100μg/日)。
確定診断:肝生検による肝内銅含量測定(>250μg/g dry weight)または遺伝子検査。
鑑別
若年性肝硬変(自己免疫性肝炎など)、神経変性疾患(ハンチントン病、パーキンソン病)、溶血性貧血(クームス陰性溶血を伴うことがあるため)。
初期対応
低銅食事療法として、銅を多く含む食品(レバー、カシューナッツ、チョコレート、貝類、キノコ類)の摂取を制限する。
根本治療
急性期・有症状期:銅キレート剤(D-ペニシラミン、トレンタイン)の投与。※D-ペニシラミンの副作用(腎症、重症筋無力症様症状)に注意。
維持期・無症状期:亜鉛製剤(酢酸亜鉛)。腸管粘膜でメタロチオネインを誘導し、銅の吸収を阻害する。末期肝不全に対しては肝移植を検討する。
病態
肝細胞から胆汁中への銅排泄を担う輸送体(ATP7B)の欠損により、体内に銅が過剰蓄積する。蓄積した銅がフリーラジカルを発生させ、肝細胞壊死や大脳基底核(レンズ核)の変性を引き起こす。
原因
常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)によるATP7B遺伝子の変異が原因である。
分類
発症形式により、肝型(小児期に多い)、神経型(思春期以降に多い)、精神型に分類される。
試験での重要ポイント
「若年性の肝硬変・不随意運動・精神症状」の三徴があれば本症を疑う。検査では「血清セルロプラスミン値の低下(銅と結合できない)」、「24時間尿中銅排泄量の増加」が診断の決め手。また、血清中の総銅量は低下するが、遊離した「直接銅」は上昇する点に注意。治療薬ではD-ペニシラミン(キレート剤)のほか、維持期に使われる亜鉛製剤(メタロチオネイン誘導による吸収抑制)が頻出。
覚え方・コツ
「ウィルソンさんはセルロ(セルロプラスミン)が低い。銅が溜まって、目に輪っか(KF輪)、肝臓カチカチ(肝硬変)。銅(Do!)してペニ(ペニシラミン)出すの?」と覚える。
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。