Biot呼吸は、呼吸の深さと間隔が不規則となり、予測不能な無呼吸を挟む異常呼吸である。延髄を中心とする呼吸中枢の障害、髄膜炎、頭蓋内圧亢進、薬物中毒などでみられ、呼吸停止へ進行し得る重篤な所見である。
身体徴候
延髄の呼吸リズム形成・統合機構が障害されると、吸気・呼気の周期性が保てなくなり、呼吸間隔と一回換気量が不規則になる。呼吸が数回まとまって出現した後に無呼吸を挟む場合や、深さがばらばらな失調性呼吸として観察される。髄膜炎、延髄梗塞・出血、頭蓋内圧亢進、脳ヘルニア、オピオイドなどの中枢抑制薬が原因となる。呼吸中枢障害が進むと有効肺胞換気が不安定となり、低酸素血症、高二酸化炭素血症、呼吸停止へ進行する。
患者を数分間連続観察し、呼吸数だけでなく各呼吸の深さ、間隔、無呼吸時間、胸腹部努力を記録する。SpO2、心拍、意識、瞳孔、血圧、体温を評価する。頭痛、発熱、項部硬直、嘔吐、神経症状、薬物使用、外傷を確認する。気流と胸腹部運動を同時にみて中枢性無呼吸か上気道閉塞かを区別する。血液ガス、頭部画像、髄膜炎評価、薬物スクリーニングを原因に応じて行う。呼吸パターンの名称を付けることより、換気の有効性と緊急性の判断を優先する。
Cheyne–Stokes呼吸は呼吸の深さが規則的に漸増・漸減し、周期的無呼吸へ至る。Biot呼吸は深さ・間隔とも不規則で、予測不能な無呼吸を挟む。Kussmaul呼吸は深く規則的で無呼吸を伴わない。閉塞性無呼吸では胸腹部努力が残るが、中枢性無呼吸では努力が消失する。死戦期呼吸は心停止時の不規則な喘ぎで、脈拍・反応の評価と蘇生が最優先となる。
Biot呼吸に意識障害、瞳孔異常、血圧上昇と徐脈、片麻痺を伴う場合は頭蓋内圧亢進や脳ヘルニアを疑う。発熱、頭痛、項部硬直を伴えば髄膜炎として緊急治療する。無呼吸時間の延長、SpO2低下、徐脈、PaCO2上昇は呼吸停止の前兆であり、気道確保と人工換気を準備する。オピオイド使用と縮瞳があれば拮抗薬投与を検討する。
Biot呼吸は不規則な呼吸と無呼吸の反復で、延髄障害や髄膜炎を示唆する。Cheyne–Stokes呼吸のようなcrescendo-decrescendoを欠く。重篤な中枢神経障害として、呼吸停止へ進行する可能性を前提に評価する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。