羽ばたき振戦は、上肢を伸展し手関節を背屈させた際に、姿勢保持が一過性に途切れて手が不規則に落下・復帰する陰性ミオクローヌスである。肝性脳症、高二酸化炭素血症、尿毒症などの代謝性脳症でみられる。
身体徴候
羽ばたき振戦は規則的な振戦ではなく、姿勢保持に必要な筋収縮が短時間途切れる陰性ミオクローヌスである。肝性脳症ではアンモニアを含む神経毒性物質、尿毒症では尿毒素、高二酸化炭素血症ではCO2による中枢神経抑制が姿勢制御回路を障害する。大脳皮質、視床、脳幹を含む広範なネットワーク機能不全により、不規則な手関節屈曲と再伸展が生じる。
患者に両上肢を前方へ伸ばさせ、手関節を背屈し、指を開いた状態で数十秒保持させる。手関節や中手指節関節が不規則に一瞬屈曲し、再び元へ戻る動きを観察する。軽症では診察者が患者の手を背屈位に保持してから離すと誘発しやすい。意識状態、見当識、呼吸数、肝性口臭、黄疸、浮腫、尿量、薬剤を確認し、血液ガス、肝腎機能、電解質を評価する。
安静時振戦や本態性振戦は周期的な筋収縮であるが、羽ばたき振戦は不規則な姿勢保持の中断である。ミオクローヌスは突然の短い筋収縮または筋活動休止で、羽ばたき振戦は陰性ミオクローヌスに分類される。片側性の場合は対側大脳病変も考える。単なる手の震えとは異なり、手関節背屈保持で明瞭になる。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。