Grey Turner徴候は、側腹部から腰部に出現する青紫色・暗赤色の皮下出血斑である。後腹膜出血が筋膜面を通って皮下へ進展した所見で、重症急性膵炎、後腹膜出血、腹部外傷などを示唆する。
身体徴候
膵壊死、後腹膜臓器損傷、大血管破裂などで後腹膜へ血液が漏出すると、血液は腰方形筋周囲や筋膜間隙を通って側腹壁皮下へ進展する。皮下組織へ到達した赤血球と分解産物によって、側腹部から腰部に青紫色、赤褐色、黄褐色の変色が生じる。急性壊死性膵炎では膵周囲の酵素性炎症と出血が後腹膜へ広がり、この所見を形成する。腎・副腎損傷、腹部大動脈瘤破裂、抗凝固薬関連後腹膜血腫、外傷でもみられる。皮膚変化が出現するには時間を要し、発症から24から48時間以上経過してから認めることが多い。所見の存在は重症出血・炎症を示唆するが、感度は低く、早期や重症例でも出現しない場合がある。
患者の前腹部だけでなく、両側腹部、腰部、背部まで十分に露出して観察する。青紫色・暗赤色の斑状変化、左右差、範囲、圧痛、腫脹を確認する。Cullen徴候、腹部膨隆、心窩部痛、背部痛、筋性防御、皮膚冷感を併せて評価する。外傷、飲酒、胆石、抗凝固薬、血管疾患、手術歴を聴取する。血圧、脈拍、意識、尿量を直ちに確認し、血算、凝固、リパーゼ、腎機能、乳酸、血液型を測定する。造影CTで膵壊死、後腹膜出血、腎損傷、大動脈病変を評価する。循環不安定な外傷例では超音波や蘇生を優先し、皮膚所見の詳細な観察で処置を遅らせない。
Cullen徴候は臍周囲、Grey Turner徴候は側腹部・腰部の皮下出血である。外傷性皮下出血は打撲部位に一致し、後腹膜出血の経路とは異なる場合がある。帯状疱疹は片側皮節性疼痛と水疱、蜂窩織炎は発赤・熱感・圧痛を伴う。単なる色素沈着は急性変化や循環異常を欠く。膵炎の重症度は皮膚徴候ではなく、臓器不全、炎症反応、画像所見を中心に判断する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。