McBurney点圧痛は、臍と右上前腸骨棘を結ぶ線上で、右上前腸骨棘から約3分の1内側に相当する部位の圧痛である。典型的な急性虫垂炎でみられるが、虫垂の位置や妊娠、体格によって圧痛部位は変化する。
身体徴候
急性虫垂炎の初期には、虫垂内腔閉塞と虫垂壁の伸展によって内臓求心性神経が刺激され、臍周囲や心窩部に局在の曖昧な内臓痛が生じる。炎症が進行して虫垂漿膜と周囲の壁側腹膜へ波及すると、右下腹部に局在する体性痛へ移行する。McBurney点は、典型的な虫垂根部と壁側腹膜の投影位置に近いため、同部位に限局性圧痛を認める。虫垂が後盲腸、骨盤内、肝下面など通常と異なる位置にある場合、圧痛部位も側腹部、骨盤内、右季肋部などへ移動する。妊娠後期には子宮増大によって盲腸・虫垂が頭側へ偏位することがある。穿孔して炎症が広がると、限局性圧痛から汎発性圧痛・筋性防御へ変化する。
患者を仰臥位とし、膝を軽く曲げて腹壁を弛緩させる。痛みのない左上腹部などから触診を開始し、右下腹部は最後に評価する。臍と右上前腸骨棘を結ぶ線を想定し、右上前腸骨棘側から約3分の1内側の部位を指腹でゆっくり圧迫する。限局した圧痛があるか、周囲との強さの差、筋性防御、反跳痛を確認する。患者が痛む場所を指一本で示せるかも観察する。発症時の臍周囲痛から右下腹部への移動、食欲不振、悪心、嘔吐、発熱、排便変化を聴取する。Rovsing徴候、腸腰筋徴候、閉鎖筋徴候を虫垂位置の推定に応じて追加する。尿検査、妊娠反応、血算、炎症反応を行い、小児・妊婦では超音波、成人では必要に応じて造影CTで虫垂腫大、周囲脂肪織濃度上昇、膿瘍、穿孔を確認する。
急性虫垂炎では臍周囲から右下腹部への疼痛移動、食欲不振、局所圧痛が重要となる。右側結腸憩室炎、終末回腸炎、感染性腸炎でも同部位に圧痛を認める。尿管結石は波状の側腹部痛、血尿、鼠径部放散を伴う。卵巣茎捻転は突然の強い片側痛と嘔吐、異所性妊娠は妊娠反応、性器出血が手掛かりとなる。後盲腸虫垂ではMcBurney点圧痛が弱く、腸腰筋徴候が有用な場合がある。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。