Cullen徴候は、臍周囲に出現する青紫色から暗赤色の皮下出血斑である。腹腔内・後腹膜出血が腹壁皮下へ進展した所見で、重症急性膵炎、異所性妊娠破裂、腹部外傷などでみられるが、出現は遅く感度も低い。
身体徴候
腹腔内または後腹膜で出血や壊死性炎症が起こると、血液や炎症性滲出液が筋膜間隙、肝円索、鎌状間膜、臍周囲組織などを通って腹壁皮下へ到達する。赤血球と血液分解産物が皮下組織へ沈着し、臍周囲に青紫色、暗赤色、黄褐色の斑状変化を形成する。重症壊死性膵炎では膵周囲・後腹膜出血が腹壁へ広がる。破裂性異所性妊娠、脾破裂、腹部外傷、腹直筋血腫、肝疾患に伴う出血でも出現し得る。皮膚変化は出血直後ではなく、通常は発症から数十時間以降に出るため、早期診断所見ではない。Cullen徴候が存在する場合は相当量の出血・炎症が進行している可能性があるが、感度は低く、陰性でも重症膵炎や腹腔内出血を否定できない。
腹部を十分に露出し、臍周囲の色調、範囲、左右対称性、圧痛、硬結、腫脹を観察する。発症時期、腹痛、背部痛、悪心、嘔吐、外傷、妊娠可能性、抗凝固薬使用を確認する。Grey Turner徴候、腹部膨隆、反跳痛、筋性防御、低血圧、頻脈を評価する。皮膚病変を撮影・記録し、経時変化を追う。血算、凝固、血液型、リパーゼ、肝腎機能、乳酸を測定する。妊娠可能年齢では妊娠反応と経腟超音波、急性膵炎・外傷では造影CTや超音波を行う。単なる皮膚疾患と決めつけず、循環動態と腹腔内病変を優先して評価する。
Grey Turner徴候は側腹部・腰部の皮下出血で、Cullen徴候は臍周囲に出現する。腹直筋血腫では限局性腹壁痛、腫瘤、Carnett徴候を伴うことがある。注射痕、外傷、臍周囲の皮膚感染、色素沈着も類似するが、急性腹症や循環異常を欠く。門脈圧亢進によるメデューサの頭は拡張静脈が放射状に見える所見で、皮下出血とは異なる。膵炎の重症度は皮膚所見だけでなく臓器不全と画像で評価する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。