寝汗は、睡眠中に衣服や寝具が湿るほど発汗する症状である。感染症、悪性リンパ腫、更年期、甲状腺機能亢進症、低血糖、薬剤などで生じる。
症状
寝汗(夜間発汗、night sweats)は、睡眠中に過剰な発汗が生じる症状であり、視床下部の体温調節中枢の変化、自律神経活動の亢進、炎症性サイトカインの作用、代謝亢進などが関与する。結核や感染性心内膜炎などの慢性感染症ではIL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインによる体温調節異常が原因となる。悪性リンパ腫ではB症状の一つとして特徴的であり、甲状腺機能亢進症では基礎代謝亢進、低血糖では交感神経刺激、更年期ではエストロゲン低下による体温調節域の狭小化が主な機序である。睡眠環境や寝具による生理的発汗との鑑別も重要である。
寝汗の頻度、持続期間、寝具や衣類を交換するほど大量かどうか、発熱、悪寒、体重減少、慢性咳嗽、血痰、リンパ節腫脹、動悸、振戦、食欲低下、月経状況、更年期症状、低血糖症状、服薬歴(抗うつ薬、解熱薬、ホルモン療法など)を確認する。身体診察では体温、体重、リンパ節、甲状腺、胸部聴診、肝脾腫を評価する。必要に応じて血算、CRP・赤沈、LDH、胸部X線・CT、IGRAや喀痰検査、甲状腺機能検査、血糖・HbA1c、血液培養などを実施する。
室温や厚い寝具による生理的発汗は環境調整で改善する。結核では微熱、慢性咳嗽、血痰、体重減少を伴うことが多い。悪性リンパ腫では無痛性リンパ節腫脹と『発熱・寝汗・体重減少』のB症状が特徴である。甲状腺機能亢進症では日中も暑がり、発汗過多、動悸、体重減少、手指振戦を認める。更年期障害ではほてり(ホットフラッシュ)と発汗が反復し、月経異常を伴うことが多い。低血糖では冷汗、動悸、振戦、空腹感、意識障害を認める。
寝汗に持続する発熱、意図しない体重減少、無痛性リンパ節腫脹を伴う場合は悪性リンパ腫や白血病などの血液悪性腫瘍を疑う。長引く咳嗽、血痰、微熱、体重減少、免疫不全を伴う場合は肺結核を考慮する。悪寒戦慄や心雑音を伴う場合は感染性心内膜炎も重要な鑑別である。夜間発汗に意識障害、痙攣、冷汗を伴う場合は重度低血糖として直ちに血糖測定と治療を行う。
寝汗では『発熱・体重減少・寝汗=B症状』をまず想起し、悪性リンパ腫の代表症状として覚えることが重要である。『寝汗+慢性咳嗽+体重減少』では肺結核、『寝汗+動悸+振戦』では甲状腺機能亢進症、『寝汗+夜間の意識障害・冷汗』では低血糖を考える。寝具を交換するほど大量の寝汗は病的意義が高く、慢性感染症や悪性腫瘍を積極的に検索する。国家試験・CBTではB症状(発熱・寝汗・体重減少)と結核・悪性リンパ腫との関連が頻出事項である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。