患者が自覚する症状を、起こる仕組み・問診の要点・鑑別・緊急性の観点から整理します。
しびれは、ピリピリ感、感覚鈍麻、異常感覚などを含む主観的な感覚異常である。中枢神経、神経根、末梢神経、代謝異常などで生じる。
乾性咳嗽は、喀痰をほとんど伴わない咳嗽である。ウイルス感染初期、咳喘息、間質性肺疾患、ACE阻害薬、胃食道逆流症、胸膜刺激などでみられる。
体位性胸痛は、仰臥位、前傾、側臥位、体幹の屈伸・回旋など、身体の姿勢によって増悪または軽快する胸痛である。急性心膜炎、胃食道逆流症、胸膜炎、筋骨格系疾患などでみられるが、体位変化があるだけで重篤な心血管疾患を除外することはできない。
労作時失神は、運動中または運動に伴って一過性に意識を失う症状である。大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、肺高血圧、重篤な不整脈などが原因となり得るため、反射性失神より先に心原性失神を除外する必要がある。
労作時胸痛は、歩行、階段昇降、運動、重い物を持つなど身体活動に伴って出現する胸痛である。安定狭心症が代表的だが、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、肺高血圧、運動誘発性気管支収縮、筋骨格系疾患でも生じる。
右季肋部痛は、右上腹部の肋骨弓下に感じる疼痛である。胆石症、急性胆囊炎、急性胆管炎、肝炎、肝膿瘍が代表的だが、右下葉肺炎、胸膜炎、腎疾患、Fitz-Hugh-Curtis症候群などでも生じる。
吐血は、上部消化管からの出血を嘔吐する症状である。消化性潰瘍、食道胃静脈瘤、Mallory-Weiss症候群などで生じる。
呑酸は、酸味または苦味のある胃内容物が、嘔吐を伴わず食道から咽頭・口腔内へ逆流する症状である。胃食道逆流症に特徴的で、胸やけ、慢性咳嗽、嗄声、咽喉頭違和感を伴うことがある。
嗄声は、声がかすれる、粗くなる、弱くなるなどの音声異常である。声帯炎、反回神経麻痺、喉頭腫瘍、声の酷使などで生じる。
嚥下障害は、食物や液体を口腔から胃へ安全かつ円滑に送れない状態である。脳卒中、神経筋疾患、頭頸部疾患、食道狭窄などで生じ、誤嚥や低栄養につながる。
回転性めまいは、自分または周囲が回転しているように感じる症状である。末梢前庭障害が多いが、脳幹・小脳病変でも生じる。
夜間頻尿は、夜間の睡眠中に排尿のため1回以上起きる症状である。夜間尿量の増加、膀胱容量低下、睡眠障害、全日性多尿など複数の機序があり、排尿日誌によって夜間尿量と排尿回数を定量化する。
寝汗は、睡眠中に衣服や寝具が湿るほど発汗する症状である。感染症、悪性リンパ腫、更年期、甲状腺機能亢進症、低血糖、薬剤などで生じる。
尿失禁は、本人の意思に反して尿が漏れる状態である。腹圧性、切迫性、溢流性、機能性、混合性などに分類され、漏れる状況、尿意、残尿量、身体・認知機能から機序を判定する。
心窩部痛は、胸骨下端と臍の間の上腹部中央に感じる疼痛である。胃炎、消化性潰瘍、機能性ディスペプシア、急性膵炎、胆道疾患が多いが、急性冠症候群、大動脈疾患、下壁肺炎でも生じる。
悪寒は寒さを強く感じる症状、戦慄は体温上昇に伴って起こる不随意な激しい筋収縮である。菌血症、重症感染症、急速な発熱時にみられ、単なる寒気より臨床的意義が大きい。
慢性咳嗽は、成人では一般に8週間以上持続する咳嗽である。咳喘息、上気道咳症候群、胃食道逆流症、好酸球性気道炎症、ACE阻害薬、喫煙関連疾患などが代表原因である。
排尿時痛は、排尿中または排尿直後に尿道や膀胱部へ痛みを感じる症状である。膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、結石などでみられる。
掻痒は、皮膚を掻きたいと感じる不快な感覚である。皮膚疾患のほか、胆汁うっ滞、腎不全、血液疾患、薬剤など全身性疾患でも生じる。
湿性咳嗽は、気道分泌物を伴い、喀痰の排出を目的として生じる咳嗽である。肺炎、急性・慢性気管支炎、気管支拡張症、COPD、肺水腫などでみられる。
狭心痛は、一過性心筋虚血によって生じる胸部不快感であり、胸骨後部の圧迫感、締め付け感、重苦しさとして表現される。労作や精神的興奮で誘発され、休息や硝酸薬で軽快する典型的安定狭心症から、安静時に出現する不安定狭心症・冠攣縮性狭心症まで病態は異なる。
胸やけは、心窩部から胸骨後部へ上行するように感じる灼熱感であり、胃食道逆流症の代表的症状である。食後、前屈、臥位で増悪しやすいが、狭心症や心筋梗塞も類似した胸部不快感を呈するため、危険因子と随伴症状を確認する。
胸部圧迫感は、胸が押される、重い、締め付けられる、息が詰まるように感じる主観的症状である。心筋虚血を最優先に考える必要があるが、喘息、心不全、胃食道逆流症、筋骨格系疾患、パニック発作などでも生じる。
腹部膨満は、腹部が張るという自覚症状、または腹囲が増大して腹部が膨隆した他覚所見である。腸管ガス、便秘、腸閉塞、腹水、肥満、妊娠、臓器腫大、腹腔内腫瘤など多様な原因がある。
膿性痰は、好中球や細胞残渣を多く含み、黄色から緑色を呈する喀痰である。肺炎、気管支拡張症、COPD急性増悪、肺膿瘍などでみられるが、色だけで細菌感染を確定することはできない。
複視は、1つの物体が2つに見える症状である。眼球運動神経障害、外眼筋疾患、神経筋接合部障害、眼窩病変などで生じる。
貧血症状は、血液の酸素運搬能低下により生じる全身症状の総称である。易疲労感、息切れ、動悸、めまい、頭痛などを呈する。
起坐呼吸は、仰臥位になると呼吸困難が増悪し、上半身を起こす、座る、複数の枕を使用すると軽快する症状である。左心不全で典型的だが、重症肺疾患、横隔膜機能低下などでもみられる。
間欠性跛行は、歩行など一定の運動により下肢筋の痛み、締め付け、疲労感が出現し、休息により軽快する症状である。末梢動脈疾患による血管性跛行が代表的だが、腰部脊柱管狭窄症による神経性跛行との鑑別が重要となる。
黒色便・タール便は、消化された血液により黒く粘稠で悪臭を伴う便である。通常は上部消化管出血を示唆する。
鼻閉は、鼻腔通気が低下し、鼻で呼吸しにくいと感じる症状である。鼻炎、鼻中隔偏位、鼻茸、腫瘍などで生じる。
疾患・概念・薬・検査・症状徴候・病原体を横断して確認できます。