労作時胸痛は、歩行、階段昇降、運動、重い物を持つなど身体活動に伴って出現する胸痛である。安定狭心症が代表的だが、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、肺高血圧、運動誘発性気管支収縮、筋骨格系疾患でも生じる。
症状
運動時には心拍数、血圧、心筋収縮力が増加し、心筋酸素需要が高まる。冠動脈狭窄があると供給増加が追いつかず心筋虚血が生じる。大動脈弁狭窄症や肥大型心筋症では左室圧負荷、壁応力増加、冠灌流低下が関与する。肺高血圧では運動時に右室酸素需要が増加する一方、肺血管抵抗が高く心拍出量を増やせない。運動誘発性気管支収縮では気道狭窄と呼吸仕事量増加が胸部不快感として感じられる。胸壁筋や肋軟骨の負荷でも体動性胸痛が起こる。
どの程度の運動で出現するか、再現性、持続時間、休息での改善、放散、呼吸困難、失神、動悸を確認する。寒冷、食後、上り坂で悪化するか、同じ負荷で繰り返すかを聴取する。冠危険因子、心雑音、家族歴、突然死歴を確認する。安静時心電図、心筋トロポニンを急性度に応じて行い、安定例では運動負荷心電図、負荷画像、冠動脈CTなどを選択する。大動脈弁狭窄症や肥大型心筋症が疑われる場合は心エコーを行い、診断前の強い運動負荷を避ける。喘鳴や呼吸症状があれば肺機能も評価する。
安定狭心症は一定の労作閾値で胸骨後部圧迫感が出現し、休息で軽快する。大動脈弁狭窄症では収縮期駆出性雑音、頸動脈への放散、脈の立ち上がり遅延を伴う。肥大型心筋症では動的雑音、若年者の労作時失神が手がかりとなる。運動誘発性気管支収縮では運動後の喘鳴・咳嗽が目立つ。筋骨格性胸痛は上肢・体幹運動や圧迫で再現される。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。