狭心痛は、一過性心筋虚血によって生じる胸部不快感であり、胸骨後部の圧迫感、締め付け感、重苦しさとして表現される。労作や精神的興奮で誘発され、休息や硝酸薬で軽快する典型的安定狭心症から、安静時に出現する不安定狭心症・冠攣縮性狭心症まで病態は異なる。
症状
冠動脈血流による心筋酸素供給が、心拍数、収縮力、壁応力などで決まる酸素需要を満たせなくなると心筋虚血が生じる。虚血心筋ではアデノシン、乳酸、ブラジキニンなどの代謝産物が蓄積し、交感神経求心路を介して胸部圧迫感として知覚される。内臓痛であるため局在が曖昧で、左肩・上肢内側、両上肢、頸部、顎、心窩部、背部へ放散する。安定狭心症では固定性冠動脈狭窄により需要増加時に虚血となる。不安定狭心症ではプラーク破綻と血栓形成、冠攣縮性狭心症では冠動脈平滑筋の一過性攣縮が関与する。
発症時刻、部位、性状、持続時間、放散、労作・寒冷・食後・精神的ストレスとの関係、休息や硝酸薬による改善を確認する。冷汗、悪心、呼吸困難、失神を聴取する。高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、腎疾患、家族歴を評価する。急性症状ではバイタルサインを測定し、発症早期に12誘導心電図を記録する。初回心電図が正常でも症状持続時は反復し、心筋トロポニンを経時測定する。安定例では運動負荷検査、冠動脈CT、負荷画像検査などを事前確率と身体能力に応じて選択する。硝酸薬で改善しても心筋虚血を確定する所見ではない。
安定狭心症は再現性のある労作閾値で出現し、数分の休息で軽快する。不安定狭心症は発作頻度・持続・強度が増加し、安静時にも生じる。冠攣縮性狭心症は夜間から早朝の安静時に多く、一過性ST上昇を伴うことがある。胸膜痛は吸気・咳で増悪し、胸壁痛は圧迫や体動で再現される。胃食道逆流症は食後・臥位で増悪するが、症状だけで冠疾患を除外できない。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。