湿性咳嗽は、気道分泌物を伴い、喀痰の排出を目的として生じる咳嗽である。肺炎、急性・慢性気管支炎、気管支拡張症、COPD、肺水腫などでみられる。
症状
感染、慢性炎症、気道壁障害、肺水腫などにより粘液や滲出液が気道内へ増加すると、機械受容体が刺激され咳反射が起こる。咳による高速気流は分泌物を中枢側へ移動させ、線毛運動と協調して排出する。咳嗽力が弱い高齢者や神経筋疾患では分泌物が貯留し、無気肺、低酸素血症、誤嚥性肺炎を招く。
痰の量、色、粘度、臭い、血液混入、出やすい時間帯、体位との関係を確認する。発熱、呼吸困難、胸痛、喘鳴、誤嚥、喫煙を聴取する。呼吸数、SpO2、湿性ラ音、低調性連続性ラ音を評価する。喀痰を実際に観察し、必要に応じて培養、細胞診を行う。排痰能力、咳嗽時最大呼気流量、嚥下機能、体位排痰の適応も評価する。
肺炎では発熱、局所性湿性ラ音、浸潤影を伴う。気管支拡張症では慢性的な大量膿性痰、反復感染、喀血がみられる。COPDでは喫煙歴、慢性咳嗽・喀痰、閉塞性換気障害を認める。心不全では泡沫状痰、起坐呼吸、下腿浮腫を伴う。上気道由来の鼻汁を喀痰と誤認しない。
湿性咳嗽に低酸素血症、頻呼吸、意識障害、高熱、悪臭のある大量膿性痰を伴う場合は重症肺炎、肺膿瘍、気管支拡張症急性増悪を疑う。ピンク色泡沫状痰、起坐呼吸は急性肺水腫を示唆する。痰を排出できず呼吸音が減弱し、努力呼吸が進む場合は気道分泌物による閉塞を考える。
湿性咳嗽は気道内分泌物の存在を示す。膿性痰は好中球性炎症を示唆するが、色だけで細菌感染を確定しない。ピンク色泡沫状痰は肺水腫、悪臭痰は嫌気性菌感染や肺膿瘍を考える。咳嗽力低下患者では排痰介助が重要である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。