体位性胸痛は、仰臥位、前傾、側臥位、体幹の屈伸・回旋など、身体の姿勢によって増悪または軽快する胸痛である。急性心膜炎、胃食道逆流症、胸膜炎、筋骨格系疾患などでみられるが、体位変化があるだけで重篤な心血管疾患を除外することはできない。
症状
急性心膜炎では、仰臥位で炎症を起こした心膜面の接触や緊張が増し、前傾座位で軽減することがある。胃食道逆流症では臥位になると胃内容物が食道へ逆流しやすくなり、胸骨後部の灼熱感・圧迫感を生じる。胸膜炎では患側を下にした側臥位で胸膜運動が抑制され、疼痛が軽減する場合がある。肋軟骨炎、肋間筋損傷、胸椎・頸椎疾患では体幹の回旋、上肢運動、特定姿勢によって機械的負荷が変化する。食道裂孔ヘルニアや縦隔病変でも体位との関連がみられることがある。
どの体位で増悪・軽快するか、変化までの時間、呼吸や食事、上肢・体幹運動との関係を確認する。仰臥位で悪化し前傾で軽快するか、食後・夜間との関連、酸逆流、嚥下症状を聴取する。発熱、呼吸困難、冷汗、悪心、放散痛も確認する。血圧、脈拍、SpO2、心音、心膜摩擦音、肺音、胸壁圧痛、脊椎可動域を評価する。急性心膜炎が疑われる場合は心電図、炎症反応、心筋トロポニン、心エコーを行う。逆流症状があっても冠危険因子や急性症状がある場合は心電図評価を優先する。
急性心膜炎は仰臥位・深吸気で悪化し、座位前傾で軽快する。胃食道逆流症は食後・臥位で増悪し、胸やけ、酸逆流を伴う。筋骨格性胸痛は体幹運動、上肢運動、局所圧迫で再現される。胸膜炎は呼吸性疼痛を伴い、患側を下にすると軽快する場合がある。狭心痛は体位との関連が乏しいことが多いが、症状の非典型性だけで虚血を否定しない。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。