右季肋部痛は、右上腹部の肋骨弓下に感じる疼痛である。胆石症、急性胆囊炎、急性胆管炎、肝炎、肝膿瘍が代表的だが、右下葉肺炎、胸膜炎、腎疾患、Fitz-Hugh-Curtis症候群などでも生じる。
症状
胆囊・胆道、肝被膜、横隔膜、右腎、右下肺などの病変が右季肋部痛を生じる。胆石が胆囊管を一時的に閉塞すると胆囊内圧が上昇し、心窩部から右季肋部に持続性の強い疼痛を生じる。急性胆囊炎では閉塞に炎症が加わり、右上腹部局所の腹膜刺激と吸気時疼痛を来す。総胆管閉塞と感染では胆管内圧上昇、細菌感染、敗血症を伴う急性胆管炎となる。肝炎やうっ血肝では肝腫大によってGlisson被膜が伸展し、鈍い痛みや圧痛を生じる。肝膿瘍では感染性炎症が関与する。右下葉肺炎や横隔膜胸膜炎では横隔神経・下位肋間神経を介して上腹部痛として知覚される。腎盂腎炎や尿管結石は側腹部から背部が中心だが、右上腹部へ放散する場合がある。
発症時刻、持続時間、脂肪食との関係、心窩部・右肩・背部への放散、発熱、悪寒、黄疸、悪心、嘔吐を確認する。尿症状、咳嗽、呼吸困難、月経・性行為歴も聴取する。診察では体温、血圧、脈拍、黄疸、右季肋部圧痛、反跳痛、肝腫大を評価する。右肋骨弓下を圧迫しながら深吸気させ、疼痛で吸気が停止するMurphy徴候を確認する。ただし高齢者、糖尿病患者、壊疽性胆囊炎では陰性の場合がある。呼吸音と右肋骨脊柱角叩打痛も確認する。血算、CRP、AST、ALT、ALP、γ-GTP、ビリルビン、リパーゼ、尿検査を行い、第一選択の画像として腹部超音波で胆石、胆囊壁肥厚、胆管拡張を評価する。必要に応じて造影CT、MRCP、胆道ドレナージを検討する。
胆石発作は強い持続痛が数十分から数時間続き、発熱や著明な炎症所見を欠くことが多い。急性胆囊炎では6時間以上続く疼痛、発熱、Murphy徴候、胆囊壁肥厚を伴う。急性胆管炎では黄疸、胆管拡張、全身感染徴候が重要となる。肝炎では倦怠感、黄疸、肝酵素上昇、肝膿瘍では発熱と肝内病変を認める。右下葉肺炎では咳嗽、頻呼吸、肺音異常を伴う。腎盂腎炎は側腹部痛、発熱、尿所見が手がかりとなる。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。