腹部膨満は、腹部が張るという自覚症状、または腹囲が増大して腹部が膨隆した他覚所見である。腸管ガス、便秘、腸閉塞、腹水、肥満、妊娠、臓器腫大、腹腔内腫瘤など多様な原因がある。
症状
腹部膨満は腹腔内のガス、液体、脂肪、便、胎児、腫瘤、臓器の増加によって生じる。腸閉塞や麻痺性イレウスでは、閉塞より口側へガスと液体が貯留し腸管が拡張する。便秘では大腸内の便・ガス量が増える。発酵性炭水化物、空気嚥下、腸内細菌叢、内臓知覚過敏によって、実際の腹囲増加が乏しくても強い張りを感じることがある。肝硬変、心不全、悪性腫瘍などでは腹水が貯留し、側腹部膨隆や臍突出を生じる。肥満では皮下・内臓脂肪、妊娠では子宮、卵巣腫瘍や巨大嚢胞では腫瘤が腹囲を増大させる。腹壁筋力低下や横隔膜・骨盤底との協調異常により、食後に腹壁が前方へ突出する機能的膨満もある。原因によって急性・慢性、痛み、腸雑音、体重変化が異なる。
発症時期、急激か慢性か、食事、排便、排ガスとの関係、腹痛、悪心、嘔吐、便秘、下痢、体重変化、月経・妊娠可能性を確認する。腹囲増加が実際にあるか、朝夕で変化するかを聴取する。視診では左右対称性、側腹部膨隆、臍、腹壁静脈、手術痕、ヘルニア、蠕動を観察する。聴診で腸雑音の亢進・減弱、打診で鼓音・濁音、触診で圧痛、筋性防御、腫瘤、肝脾腫を評価する。移動性濁音と液体波動は腹水を示唆する。直腸診や骨盤診察を必要に応じて行う。妊娠反応、血算、電解質、肝腎機能、炎症反応を病歴に応じて測定し、腹部X線、超音波、CTで腸管拡張、腹水、腫瘤、臓器腫大を確認する。慢性機能性症状では食事内容、排便日誌、Rome基準に関連する症状を評価する。
腸管ガスでは全体に鼓音が強く、食事・排便で変動する。腹水では側腹部が濁音、中央部が鼓音となり、体位変換で濁音域が移動する。肥満では腹壁脂肪が主体で、移動性濁音を欠く。妊娠・子宮筋腫・卵巣腫瘍では下腹部からの限局性または中央部膨隆を示す。腸閉塞では疝痛、嘔吐、排ガス停止、機械性では金属音を伴うことがある。機能性腹部膨満では検査上の著明な腸管拡張を欠き、排便障害や内臓知覚過敏を伴う。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。