Raynaud現象は、寒冷や精神的緊張を契機に手指・足趾の小動脈が発作性に収縮し、蒼白、チアノーゼ、発赤などの色調変化を生じる現象である。原発性と膠原病などに伴う二次性があり、潰瘍や左右差は二次性を示唆する。
身体徴候
寒冷や情動刺激によって交感神経性血管収縮が増強し、指趾の小動脈・細動脈が過度に収縮すると、末梢血流が一時的に減少する。虚血期には白色または蒼白となり、静脈血のうっ滞と還元ヘモグロビン増加により青紫色となる。血管攣縮が解除されると反応性充血が起こり赤色となり、熱感、拍動痛、しびれを感じる。典型的には白、青、赤の三相性変化とされるが、全ての相がそろうとは限らない。原発性Raynaud現象では血管の機能的過反応が中心で、組織障害は通常生じない。二次性では全身性強皮症、混合性結合組織病、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、閉塞性血管疾患などによる構造的血管障害が加わり、持続性虚血、指尖潰瘍、壊疽を生じる。振動工具、喫煙、β遮断薬、麦角製剤、交感神経刺激薬なども誘発・増悪因子となる。
色調変化の順序、持続時間、寒冷・緊張との関連、左右対称性、母指を含むか、しびれ・疼痛を確認する。発作時写真は診断の参考となる。発症年齢、経過、喫煙、振動工具、薬剤を聴取する。関節痛、皮膚硬化、手指腫脹、筋力低下、口腔乾燥、嚥下障害など膠原病症状を確認する。診察では指尖潰瘍、瘢痕、陥凹、壊死、爪郭出血、皮膚硬化、毛細血管拡張を観察する。爪郭毛細血管鏡で巨大毛細血管、出血、毛細血管脱落などを評価すると原発性と二次性の鑑別に役立つ。橈骨・尺骨動脈拍動、Allen試験、血圧左右差を確認し、大血管閉塞も除外する。二次性が疑われる場合は抗核抗体、疾患特異的自己抗体、炎症反応、血算、尿検査などを臨床所見に応じて行う。
原発性は若年発症、左右対称、軽症で、潰瘍や組織壊死を欠き、爪郭毛細血管が正常であることが多い。二次性は非対称、疼痛が強い、潰瘍・瘢痕を伴い、膠原病所見や毛細血管異常がみられる。肢端チアノーゼは持続性の左右対称な青紫色で、明瞭な発作性蒼白を欠く。しもやけは寒冷後に紅紫色腫脹と掻痒が持続する。急性動脈閉塞では脈拍消失と持続性虚血があり、発作性で可逆的なRaynaud現象とは異なる。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。