IV音は、I音直前の拡張末期に生じる低周波心音であり、心房収縮によって血液が硬く拡張しにくい心室へ流入する際に生じる。高血圧性左室肥大、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、心筋虚血などを示唆し、心房細動では生じない。
身体徴候
拡張末期には心房収縮によって血液が心室へ追加流入する。心室コンプライアンスが低下し硬くなっていると、心房から押し込まれた血液が心室壁を振動させ、低周波のIV音を生じる。高血圧による左室肥大、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心疾患、加齢性心筋硬化などでみられる。右室性IV音は肺高血圧や肺動脈弁狭窄症など右室圧負荷で生じる。IV音の発生には有効な心房収縮が必要であるため、心房細動では原則として聴取されない。完全房室ブロックでは心房収縮と心室収縮のタイミングが変化し、IV音の強さが拍ごとに変動することがある。頻脈時にはS4、S1、S2が三拍子となり、拡張末期奔馬調律を形成する。
左室性IV音は心尖部で、患者を左側臥位にして聴取する。聴診器のベル面を軽く当て、S1直前の低調な音を確認する。頸動脈拍動または心尖拍動で収縮期を同定し、収縮開始直前に位置することを確かめる。右室性IV音は胸骨左下縁で聴取され、吸気時に増強しやすい。心拍が速いとIII音との区別が困難になるため、心電図と同時記録できればP波後、QRS前に対応することを確認する。血圧、頸動脈波、心尖拍動の持続性、収縮期雑音、胸痛、労作時失神を評価する。心電図で左室肥大・虚血、心エコーで壁厚、拡張能、大動脈弁狭窄、肥大型心筋症を確認する。
IV音はS1直前の拡張末期、III音はS2直後の拡張早期に聴取される。IV音は心房収縮に依存するため心房細動では消失する。I音分裂は高調で心尖部より胸骨左下縁に聴取され、収縮開始と一致する。収縮期クリックはS1後に生じる高調音である。高齢者では軽度IV音を聴取する場合があるが、症状や左室肥大所見があれば病的意義を評価する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。