微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)は、小児の原発性ネフローゼ症候群の大部分を占める疾患である。急激に発症する高度の蛋白尿と全身性浮腫を特徴とする。光学顕微鏡では糸球体に異常を認めないが、電子顕微鏡でポドサイト(上皮細胞足突起)の癒合・消失を認める。ステロイドが著効するが再発しやすく、CBTや医師国家試験の小児科・腎臓分野において毎年問われる超頻出疾患である。
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急激に発症する浮腫(眼瞼周囲から始まり、下肢、全身性浮腫、腹水、胸水へ急速に進行する)
体重増加
乏尿、泡立つ尿
全身倦怠感
※血尿や高血圧は原則として伴わない(伴う場合は他の糸球体腎炎を疑う重要な陰性所見)。
初期評価
小児の突然の眼瞼・下肢の浮腫や体重増加から疑う。
検査
尿検査で高度蛋白尿(尿蛋白3.5g/日以上、小児では随時尿蛋白/尿Cr比2.0以上)を確認する。血液検査で低アルブミン血症(血清アルブミン3.0g/dL以下)、高LDLコレステロール血症を確認する。IgGの選択的クリアランス比(SI)が0.1未満であることを確認する。
病理所見(成人の場合や非典型例で腎生検を実施した場合)
PAS染色などの光学顕微鏡検査、および蛍光抗体法(IF)では異常を認めない。電子顕微鏡検査で「上皮細胞足突起の広範な癒合・消失」を確認する。
鑑別
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS:ステロイド抵抗性、非選択的蛋白尿、血尿や高血圧を伴いやすい)、膜性腎症(MN:成人に多い、基底膜の肥厚)、急性糸球体腎炎(AGN:溶連菌感染後、血尿と高血圧が主体)と鑑別する。
初期対応
浮腫に対する塩分制限と、必要に応じた水分制限を行う。著明な浮腫に対してはループ利尿薬を使用するが、血管内脱水による急性腎障害(AKI)や血栓症(静脈血栓塞栓症など)の誘発に十分注意する。
根本治療
第一選択は「副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)」の十分量投与であり、大部分(90%以上)が数週間以内に完全寛解(尿蛋白消失)する。ただし再発率が高いため、頻回再発型やステロイド依存型・抵抗性を示す場合には、免疫抑制薬(シクロスポリン、ミゾリビン、シクロホスファミドなど)やリツキシマブ(抗CD20抗体)の併用療法を行う。
病態
T細胞の機能異常などにより産生された液性因子が、糸球体基底膜のチャージバリア(陰電荷)を低下させることで、アルブミンが選択的に尿中に漏出する。
原因
特発性(原因不明)が大部分である。一部にアレルギー(花粉、虫刺され)、NSAIDs、ホジキンリンパ腫などが関与することがある。
分類
原発性ネフローゼ症候群の一型であり、小児の約80%、成人の約20%を占める。
試験での重要ポイント
「小児、急激に発症する浮腫、ステロイド著効」が最大のキーワード。検査所見では、糸球体のサイズバリアが保たれているため「選択的蛋白尿(selectivity index: SI < 0.1)」となる点が超頻出。病理検査では「光顕・蛍光抗体法(IF)は著変なし(陰性)」、「電顕で上皮細胞足突起の広範な癒合・消失」が必須知識である。小児では典型例であれば原則として「腎生検を行わずにステロイド治療を開始する」点もよく問われる。鑑別でよく出るのは、成人に多く徐々に発症する「膜性腎症(MN)」や、ステロイド抵抗性の「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」である。
覚え方・コツ
「MCNS(ミクロ)は小児に急激。光顕セーフで電顕アウト(足突起癒合)。ステロイド著効で選択性ヨシ(SI<0.1)」と覚える。
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