最終更新日: 2026年4月16日
アスクレピアで深掘りする微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)は、小児の原発性ネフローゼ症候群の大部分を占める疾患である。急激に発症する高度の蛋白尿と全身性浮腫を特徴とする。光学顕微鏡では糸球体に異常を認めないが、電子顕微鏡でポドサイト(上皮細胞足突起)の癒合・消失を認める。ステロイドが著効するが再発しやすく、CBTや医師国家試験の小児科・腎臓分野において毎年問われる超頻出疾患である。
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急激に発症する浮腫(眼瞼周囲から始まり、下肢、全身性浮腫、腹水、胸水へ急速に進行する)
体重増加
乏尿、泡立つ尿
全身倦怠感
※血尿や高血圧は原則として伴わない(伴う場合は他の糸球体腎炎を疑う重要な陰性所見)。
初期評価
小児の突然の眼瞼・下肢の浮腫や体重増加から疑う。
検査
尿検査で高度蛋白尿(尿蛋白3.5g/日以上、小児では随時尿蛋白/尿Cr比2.0以上)を確認する。血液検査で低アルブミン血症(血清アルブミン3.0g/dL以下)、高LDLコレステロール血症を確認する。IgGの選択的クリアランス比(SI)が0.1未満であることを確認する。
病理所見(成人の場合や非典型例で腎生検を実施した場合)
PAS染色などの光学顕微鏡検査、および蛍光抗体法(IF)では異常を認めない。電子顕微鏡検査で「上皮細胞足突起の広範な癒合・消失」を確認する。
鑑別
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS:ステロイド抵抗性、非選択的蛋白尿、血尿や高血圧を伴いやすい)、膜性腎症(MN:成人に多い、基底膜の肥厚)、急性糸球体腎炎(AGN:溶連菌感染後、血尿と高血圧が主体)と鑑別する。
初期対応
浮腫に対する塩分制限と、必要に応じた水分制限を行う。著明な浮腫に対してはループ利尿薬を使用するが、血管内脱水による急性腎障害(AKI)や血栓症(静脈血栓塞栓症など)の誘発に十分注意する。
根本治療
第一選択は「副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)」の十分量投与であり、大部分(90%以上)が数週間以内に完全寛解(尿蛋白消失)する。ただし再発率が高いため、頻回再発型やステロイド依存型・抵抗性を示す場合には、免疫抑制薬(シクロスポリン、ミゾリビン、シクロホスファミドなど)やリツキシマブ(抗CD20抗体)の併用療法を行う。
病態
T細胞の機能異常などにより産生された液性因子が、糸球体基底膜のチャージバリア(陰電荷)を低下させることで、アルブミンが選択的に尿中に漏出する。
原因
特発性(原因不明)が大部分である。一部にアレルギー(花粉、虫刺され)、NSAIDs、ホジキンリンパ腫などが関与することがある。
分類
原発性ネフローゼ症候群の一型であり、小児の約80%、成人の約20%を占める。
試験での重要ポイント
「小児、急激に発症する浮腫、ステロイド著効」が最大のキーワード。検査所見では、糸球体のサイズバリアが保たれているため「選択的蛋白尿(selectivity index: SI < 0.1)」となる点が超頻出。病理検査では「光顕・蛍光抗体法(IF)は著変なし(陰性)」、「電顕で上皮細胞足突起の広範な癒合・消失」が必須知識である。小児では典型例であれば原則として「腎生検を行わずにステロイド治療を開始する」点もよく問われる。鑑別でよく出るのは、成人に多く徐々に発症する「膜性腎症(MN)」や、ステロイド抵抗性の「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」である。
覚え方・コツ
「MCNS(ミクロ)は小児に急激。光顕セーフで電顕アウト(足突起癒合)。ステロイド著効で選択性ヨシ(SI<0.1)」と覚える。
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急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は、数週から数ヶ月の短い期間で急速に腎機能が低下し、末期腎不全に至る予後不良の疾患群である。病理学的に糸球体に「半月体」を形成するのが特徴である。CBTや医師国家試験では、ANCA関連血管炎などの原因疾患の鑑別や、ステロイドパルスを中心とする強力な初期治療が毎年問われる超頻出疾患である。
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は、糸球体基底膜の肥厚とメサンギウム細胞の増殖を特徴とする難治性の糸球体疾患である。蛋白尿と血尿が同時にみられ、ネフローゼ症候群と腎炎の両方の性質を持つ。C型肝炎ウイルス(HCV)感染に合併しやすく、CBTや医師国家試験では特徴的な病理所見(軌道状・二重輪郭)や低補体血症が毎年問われる頻出疾患である。
膜性腎症(MN)は、成人の原発性ネフローゼ症候群の原因として最も頻度が高い疾患である。糸球体基底膜の上皮側に免疫複合体が沈着し、基底膜が肥厚することで大量の蛋白尿を来す。中高年に好発し、悪性腫瘍などを背景とする二次性のものが含まれるため全身検索が必須である。CBTや医師国家試験では、特徴的な病理所見(スパイク形成など)や、微小変化型(MCNS)との鑑別が毎年問われる超頻出疾患である。
アルポート症候群は、IV型コラーゲンの遺伝子変異により、腎臓、内耳、眼の基底膜に異常を来す遺伝性疾患である。幼児期からの血尿で発症し、進行性の腎機能障害、感音難聴、眼合併症(円錐水晶体など)を特徴とする。大部分がX連鎖遺伝であり、CBTや医師国家試験では、電子顕微鏡での基底膜の「網目状(basket-weave)変化」や、男児の難聴・血尿の家族歴が頻出である。