メデューサの頭は、臍を中心に拡張・蛇行した腹壁静脈が放射状に広がる所見である。門脈圧亢進によって臍傍静脈と腹壁静脈の側副血行路が発達して生じ、肝硬変など進行した門脈圧亢進を示唆する。
身体徴候
肝硬変、門脈血栓症、Budd-Chiari症候群などで門脈圧が上昇すると、門脈血は肝臓を迂回して体循環へ流れる側副血行路を発達させる。臍部では、胎生期の臍静脈に関連する臍傍静脈と、腹壁の浅腹壁静脈・胸腹壁静脈などが交通している。門脈圧亢進により臍傍静脈が再開通・拡張すると、血液が臍から周囲の腹壁静脈へ流れ、臍を中心に蛇行した静脈が放射状に広がる。これが神話上のメデューサの蛇状の頭髪に似るためメデューサの頭と呼ばれる。門脈圧亢進では同時に食道胃静脈瘤、直腸静脈叢、後腹膜側副路も発達する。腹壁静脈の血流は一般に臍から外側へ向かう。著明な臍静脈再開通に連続性雑音を伴う状態はCruveilhier-Baumgarten症候群と呼ばれる。
患者を仰臥位とし、腹部全体を十分に露出して斜光で観察する。臍を中心に放射状に走る拡張静脈、蛇行、左右対称性、腹水、臍ヘルニアを確認する。血流方向をみる場合は、静脈の一部を二本の指で圧迫して血液を排除し、両端を閉じた後に片方ずつ指を離し、どちら側から再充満するかを観察する。門脈圧亢進では臍から外側へ向かう血流が基本となる。腹壁上で連続性雑音や振戦を聴取・触知する場合は臍静脈再開通を考える。黄疸、脾腫、腹水、手掌紅斑、くも状血管腫、女性化乳房、下腿浮腫、肝性脳症所見を評価する。血算、血小板、肝機能、アルブミン、凝固を測定し、腹部超音波・ドプラで門脈径、血流方向、血栓、臍静脈再開通、脾腫、腹水を確認する。上部消化管内視鏡で食道胃静脈瘤を評価する。
下大静脈閉塞では腹壁静脈が主に下から上へ、上大静脈閉塞では上から下へ流れる。メデューサの頭では臍中心の放射状分布と外向き血流が特徴となる。痩せた人の正常皮下静脈は細く、門脈圧亢進の他所見を欠く。Cullen徴候は臍周囲の皮下出血であり、圧迫して退色する静脈構造ではない。腹壁動脈は拍動を触れ、静脈とは異なる。妊娠や腹腔内腫瘤による静脈怒張では門脈圧亢進所見を欠くことがある。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。