冷汗は、皮膚が冷たく湿潤する発汗であり、交感神経が急激に亢進した際にみられる。ショック、急性冠症候群、低血糖、強い疼痛、失神前状態などの重要な警告所見である。
身体徴候
循環不全、低血糖、強い疼痛、恐怖などにより交感神経が活性化すると、エクリン汗腺から発汗が増加する。同時に皮膚血管が収縮して皮膚温が低下するため、冷たく湿った皮膚として観察される。ショックでは末梢循環を犠牲にして心臓や脳への血流を保とうとする代償反応の一部である。
皮膚温と湿潤を視診・触診し、発症時の胸痛、腹痛、動悸、めまい、空腹、糖尿病治療、出血、アレルギー曝露を確認する。血圧、脈拍、呼吸数、SpO2、意識、毛細血管再充満時間、血糖を直ちに評価する。胸痛があれば心電図、出血が疑われれば出血源と血算、ショックが疑われれば乳酸や臓器灌流を確認する。
暑熱環境や運動による発汗では皮膚は温かいことが多い。冷汗は皮膚冷感、蒼白、頻脈を伴いやすい。低血糖では振戦、空腹感、神経症状、血管迷走神経反射では悪心、徐脈、眼前暗黒感を伴う。敗血症初期は皮膚が温かい場合もあり、冷汗がないからショックを否定できない。
冷汗に胸痛、低血圧、意識障害、呼吸困難、失神、腹部激痛、黒色便、吐血を伴う場合は急性冠症候群、ショック、大動脈解離、消化管出血を疑う。糖尿病治療中で意識変容を伴う場合は低血糖を直ちに確認し対応する。
冷汗は急性冠症候群、低血糖、出血性ショックの典型的随伴所見である。胸痛と冷汗では心筋梗塞、意識変容と冷汗では低血糖を優先して評価する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。