低血圧は、血圧が低く、脳、心臓、腎臓などへの灌流が不足し得る状態である。体質的に無症状のこともあるが、急性発症で意識障害、冷汗、乏尿を伴う場合はショックや重篤な循環不全を示唆する。
身体徴候
血圧低下は、循環血液量減少、心拍出量低下、末梢血管拡張、血管抵抗低下、またはこれらの複合で生じる。出血や脱水では静脈還流が減少し、心筋梗塞や重症不整脈ではポンプ機能が低下する。敗血症やアナフィラキシーでは血管拡張と血管透過性亢進が起こり、閉塞性ショックでは肺塞栓、心タンポナーデ、緊張性気胸により心臓への流入または駆出が妨げられる。血圧の絶対値より、組織灌流不足の有無が臨床的に重要である。
血圧を再測定し、カフサイズ、腕の位置、測定機器の誤差を除外する。意識状態、皮膚温、冷汗、毛細血管再充満時間、脈拍、呼吸数、SpO2、尿量を同時に確認する。出血、嘔吐、下痢、発熱、胸痛、呼吸困難、薬剤、アレルギー曝露を聴取し、頸静脈怒張または虚脱、心音、呼吸音、腹部圧痛、皮疹を診察する。可能なら臥位と立位での変化、心電図、血算、電解質、腎機能、乳酸、心エコーを用いて原因と重症度を評価する。
慢性的で無症状の体質性低血圧と、急性臓器低灌流を伴う病的低血圧を区別する。循環血液量減少では頸静脈虚脱、口腔乾燥、頻脈が多く、心原性では頸静脈怒張、湿性ラ音、胸痛を伴うことがある。敗血症初期は四肢温暖、後期や低灌流時は冷感が目立つ。測定値が臨床像と合わない場合は不整脈、カフ不適合、末梢循環不良による誤測定を疑う。
低血圧に意識障害、冷汗、頻呼吸、乏尿、胸痛、呼吸困難、チアノーゼ、毛細血管再充満遅延を伴う場合はショックとして扱う。消化管出血、外傷、アナフィラキシー、敗血症、急性冠症候群、肺塞栓、大動脈解離、心タンポナーデ、緊張性気胸を念頭に、気道・呼吸・循環を優先して直ちに救急対応する。
低血圧では数値だけでなく、意識、尿量、皮膚所見、乳酸など臓器灌流を評価する。ショックは循環血液量減少性、心原性、分布異常性、閉塞性に分類する。頸静脈怒張を伴う低血圧では心タンポナーデ、肺塞栓、緊張性気胸を考え、頸静脈虚脱では出血や脱水を考える。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。