息苦しいという主観的な感覚を、呼吸仕事量・酸素化・循環・代謝から評価する。呼吸数や会話、意識を合わせ、SpO2が正常でも原因を除外しない。
症状
呼吸困難は、呼吸がつらい・空気が足りないなどと感じる主観的な症状である。気道の抵抗、肺・胸郭の弾性、呼吸筋の負荷、ガス交換、循環、代謝性アシドーシスなどが呼吸中枢や感覚へ影響する。
低酸素血症と呼吸困難は同義ではない。貧血や代謝、呼吸仕事量の増加などでSpO2が保たれていても強い息苦しさを感じることがある。一方、低酸素血症でも訴えが乏しい場合がある。
安全と呼吸循環を確認し、安静時か労作時か、突然か慢性か、進行しているか、体位や夜間との関係を聞く。胸痛、咳、痰、発熱、喘鳴、浮腫、体重変化、出血、服薬や既往も確認する。
呼吸数、深さ・リズム、努力呼吸、補助筋、会話の可否、呼吸音と左右差、意識、循環、SpO2を合わせて評価する。酸素投与の有無や条件、脈波や末梢循環など測定の信頼性も記録する。
前と同じ値でも、酸素投与量が増えた、会話が難しくなった、疲弊して呼吸が弱くなった場合は状態が変化している。SpO2の一つの数字だけを追わない。
組み合わせる所見 | 考える方向 | 留意点 |
|---|---|---|
喘鳴・呼気延長 | 下気道の閉塞など | 音の大きさだけで重症度を決めない |
起坐呼吸・浮腫・体重変化 | 心不全等のうっ血など | 浮腫がなくても除外できない |
突然の息切れ・胸痛 | 肺塞栓・気胸等も検討 | 正常SpO2だけで否定しない |
Hb低下・労作時症状 | 貧血による酸素運搬低下など | 酸素飽和度とHb量を分ける |
深い呼吸・代謝の異常 | アシドーシス等の呼吸応答 | 呼吸器の病気だけに限定しない |
不安が併存しても、それを原因と決める前に身体的な病態を評価する。必要に応じて心電図、画像、血算、血液ガス等を、診察で立てた仮説に合わせて組み合わせる。
安静時の強い呼吸困難、会話困難、意識の変化、チアノーゼ、循環不全、吸気性の異常音、急な片側呼吸音低下、胸痛などは緊急に評価する。呼吸数が多かった人が弱い呼吸になった場合も、単に改善と判断しない。
施設内では助けを呼び、担当者と救急体制へ共有する。家庭で急な重い息苦しさがある場合は救急要請につなぐ。酸素や呼吸補助の目標・方法は病態と専門的な評価に基づく。
呼吸困難、低酸素血症、換気不全、酸素運搬量の低下を分ける。呼吸音、呼吸数、意識、循環を含む評価を、SpO2の確認だけに置き換えない。
看護・リハでは、活動内容、症状の出方、酸素条件、バイタルと回復を一緒に記録する。急な増悪時に、運動の継続で原因を確かめようとしない。
American Thoracic Society:Update on the Mechanisms, Assessment, and Management of Dyspnea. 2012.
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