Kussmaul呼吸は、深く大きく、規則的で持続する呼吸様式であり、重度代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償としてみられる。糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、尿毒症などが代表原因で、単なる不安性過呼吸とは病態が異なる。
身体徴候
代謝性アシドーシスで血中水素イオン濃度が上昇すると、頸動脈小体などの末梢化学受容器が刺激され、呼吸中枢が換気を増加させる。CO2排出を増やすことで炭酸濃度を低下させ、pH低下を部分的に補正する。重度になると呼吸数だけでなく一回換気量が著しく増加し、深く規則的なKussmaul呼吸となる。糖尿病性ケトアシドーシスではインスリン欠乏によりケトン体が蓄積し、乳酸アシドーシスでは組織低灌流や代謝異常、尿毒症では不揮発性酸排泄低下が原因となる。この呼吸は病的酸負荷への重要な代償であり、鎮静などで抑制すると急速にpHが悪化する。
呼吸の深さ、規則性、呼吸数、努力感を観察し、口渇、多尿、体重減少、腹痛、嘔吐、発熱、糖尿病歴、薬剤、腎疾患を確認する。血圧、脈拍、SpO2、意識、脱水、アセトン臭を評価する。血糖、血液ガス、電解質、重炭酸、アニオンギャップ、血中または尿中ケトン、乳酸、腎機能を測定する。代償が適切かは予測PaCO2との比較で判断する。深い呼吸が弱まった場合は改善か呼吸筋疲労かを、pH、PaCO2、意識から判定する。
不安性過換気ではしびれ、動悸、恐怖感が中心で、重度代謝性アシドーシスを欠く。Cheyne–Stokes呼吸は呼吸の漸増・漸減と無呼吸を反復する。Biot呼吸は不規則である。努力呼吸を伴って見えても、Kussmaul呼吸では主な駆動因子は代謝性アシドーシスであり、喘息のような気道狭窄とは異なる。呼吸数が著しく多くなくても、深大呼吸が目立つことがある。
Kussmaul呼吸に意識障害、低血圧、重度脱水、高カリウム血症、腹痛を伴う場合は糖尿病性ケトアシドーシスなどの重症代謝性アシドーシスとして緊急治療する。敗血症やショックによる乳酸アシドーシスでは感染源・循環不全を同時に治療する。呼吸が浅くなりPaCO2が上昇してきた場合は代償破綻を疑い、気道管理を検討する。挿管時には代償性高換気を急に失わせないよう換気量管理が必要である。
Kussmaul呼吸は重度代謝性アシドーシスに対する深く規則的な代償呼吸である。糖尿病性ケトアシドーシスが代表的で、口渇、多尿、脱水、腹痛、アセトン臭を伴う。代償性過換気を鎮静で抑制してはいけない。呼吸が弱くなる場合は代償破綻を疑う。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。