stridorは、喉頭や気管など上気道の高度狭窄によって生じる、高調で粗い呼吸音である。吸気性が多いが、狭窄部位により二相性・呼気性となる。気道異物、クループ、喉頭蓋炎、アナフィラキシー、腫瘍などでみられ、気道閉塞の緊急警告所見である。
身体徴候
上気道内腔が狭窄すると、狭窄部を通る高速の乱流によって気道壁が振動し、高調で遠くからでも聞こえる音が生じる。声門上部や声門部の可変性狭窄は吸気時陰圧で悪化し、吸気性stridorとなる。声門下や固定性狭窄では吸気・呼気の両方に二相性音を認めることがある。胸腔内気管の狭窄では呼気性となり得る。小児は気道径が小さいため、わずかな粘膜浮腫でも断面積が大きく減少し、急速に重症化する。
患者へ近づく前から音が聞こえるか、吸気・呼気のどの時相か、頸部と胸部のどこで最も強いかを確認する。嗄声、犬吠様咳嗽、流涎、嚥下困難、舌・顔面腫脹、異物誤嚥、手術・挿管歴を聴取する。発声、会話能力、陥没呼吸、鼻翼呼吸、SpO2、意識、皮膚色を評価する。喉頭蓋炎が疑われる小児では、無理に仰臥位にしたり舌圧子で咽頭を刺激したりしない。気道確保可能な環境で耳鼻咽喉科・麻酔科と連携し、必要に応じて喉頭鏡、頸部画像、気管支鏡を行う。
wheezesは胸腔内気道の狭窄で生じ、肺野で強く、呼気性が多い。stridorは頸部で最も強く、吸気性または二相性である。クループでは犬吠様咳嗽、嗄声、吸気性stridor、喉頭蓋炎では高熱、流涎、嚥下痛、前傾姿勢を伴う。声帯機能不全では発作性吸気性音を呈するが、重症器質的閉塞を除外して判断する。鼾は咽頭軟部組織の振動で、主に睡眠中に生じる。
stridorに流涎、発声不能、会話困難、チアノーゼ、意識低下、著明な陥没呼吸を伴う場合は切迫上気道閉塞である。蕁麻疹、低血圧、舌・口唇腫脹を伴えばアナフィラキシーとして直ちにアドレナリン筋注を行う。異物誤嚥による完全閉塞で発声・咳嗽不能なら窒息への救命処置を開始する。音が弱くなっても努力呼吸や意識が悪化していれば、気流がさらに減少した可能性がある。
stridorは上気道閉塞の所見であり、一般的な喘鳴とは区別する。吸気性は声門上・声門部、二相性は固定性声門下狭窄を示唆する。小児のstridorではクループ、喉頭蓋炎、気道異物を鑑別する。喉頭蓋炎疑いでは咽頭診察で気道閉塞を誘発しない。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。