チアノーゼは、皮膚や粘膜が青紫色に見える身体徴候である。還元ヘモグロビン増加により生じ、中枢性と末梢性に分けて評価する。
身体徴候
チアノーゼ(cyanosis)は、毛細血管血液中の還元ヘモグロビン(脱酸素ヘモグロビン)が約5 g/dL以上に増加すると、皮膚や粘膜が青紫色に見える身体所見である。中枢性チアノーゼは動脈血酸素飽和度(SaO2)の低下によって生じ、肺疾患、右左シャント、先天性心疾患などが原因となる。一方、末梢性チアノーゼは心拍出量低下、末梢循環不全、寒冷刺激などによる血流停滞により、組織での酸素抽出が増加して生じる。チアノーゼの出現は還元ヘモグロビンの絶対量に依存するため、重度貧血では高度低酸素血症でも目立ちにくく、多血症では比較的軽度の低酸素血症でも出現しやすい。
自然光下で口唇、舌、口腔粘膜、爪床、耳介、四肢末端を観察する。舌や口腔粘膜まで青紫色を呈する場合は中枢性チアノーゼを、四肢末端のみに限局し冷感を伴う場合は末梢性チアノーゼを考える。SpO2、呼吸数、呼吸パターン、呼吸音、心音、毛細血管再充満時間(CRT)、四肢温度、末梢脈拍を評価する。必要に応じて動脈血ガス分析、胸部X線・CT、心電図、心エコーを実施する。乳児や小児では哺乳時の増悪、発症時期、ばち指、先天性心疾患の既往も確認する。
中枢性チアノーゼでは舌・口腔粘膜まで青紫色となり、動脈血酸素飽和度が低下している。末梢性チアノーゼでは手足や爪床に限局し、保温や循環改善によって軽快することが多い。メトヘモグロビン血症ではSpO2が約85%付近で固定され、酸素投与に反応しにくく、血液はチョコレート褐色を呈する。一酸化炭素中毒では重度低酸素状態でもチアノーゼを認めないことがある。カロテン血症や黄疸は皮膚色調が異なるが、口腔粘膜やSpO2を確認することで鑑別できる。
急性に出現した中枢性チアノーゼに呼吸困難、意識障害、低酸素血症、胸痛、片側呼吸音消失、喘鳴(stridor)、低血圧、ショックを伴う場合は、気道閉塞、重症肺炎、急性肺水腫、肺血栓塞栓症、緊張性気胸、急性心不全など生命を脅かす病態を疑う。ABC評価を行い、直ちに酸素投与、気道・換気管理、循環管理を開始する。
チアノーゼは『中枢性』と『末梢性』を区別することが最重要である。『舌・口腔粘膜まで青い=中枢性』『冷たい四肢・末梢のみ=末梢性』は国家試験・CBT頻出事項である。チアノーゼは還元ヘモグロビン量に依存するため、『重度貧血では目立ちにくい』『多血症では出現しやすい』ことも重要である。また、『メトヘモグロビン血症では酸素投与に反応しにくい』『一酸化炭素中毒ではPaO2や皮膚色だけでは評価できない』ことも頻出の鑑別ポイントである。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。