高血圧は、診察室または家庭で測定した血圧が持続的に高い状態である。多くは無症状だが、長期に続くと心臓、脳、腎臓、網膜、血管に障害を蓄積し、脳卒中、心不全、慢性腎臓病などの主要な危険因子となる。
身体徴候
血圧は心拍出量と末梢血管抵抗の積で決まり、交感神経活性化、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系亢進、ナトリウム貯留、血管内皮機能障害、動脈硬化などにより上昇する。本態性高血圧では遺伝素因と生活習慣が複合して作用し、二次性高血圧では腎実質疾患、腎血管性病変、内分泌疾患、睡眠時無呼吸、薬剤など明確な原因が存在する。長期の圧負荷は左室肥大、糸球体障害、細動脈硬化を進行させる。
安静座位で数分休ませ、背もたれと足底を支持し、上腕を心臓の高さに保つ。適切なカフ幅を選び、会話、喫煙、カフェイン、運動直後を避けて測定する。初診時は両上肢で測り、以後は高い側を基準とする。1回の値だけで判断せず、別日に複数回測定し、家庭血圧や24時間自由行動下血圧も活用する。頭痛、胸痛、呼吸困難、神経症状、尿量変化を確認し、眼底、心音、頸動脈雑音、浮腫、左右差を評価する。腎機能、尿蛋白、電解質、血糖、脂質、心電図で臓器障害と二次性原因を調べる。
白衣高血圧は診察室で高く家庭血圧が正常、仮面高血圧は診察室で正常でも家庭や夜間に高い。疼痛、不安、発熱、尿閉では一過性上昇が起こる。若年発症、急激な悪化、治療抵抗性、低カリウム血症、腹部血管雑音、発作性動悸と発汗があれば二次性高血圧を疑う。左右上肢差が大きい場合は大動脈解離や鎖骨下動脈病変も考える。
著明な血圧上昇に意識障害、けいれん、片麻痺、視力障害、胸背部痛、急性呼吸困難、乏尿を伴う場合は高血圧緊急症、脳卒中、大動脈解離、急性心不全、急性腎障害を疑う。数値のみで緊急性を決めず、急性臓器障害の有無を確認し、認める場合は直ちに救急評価と静注治療が可能な環境へ移送する。
高血圧では正しい測定手技と複数回確認が前提となる。標的臓器障害として左室肥大、脳血管障害、蛋白尿、腎機能低下、網膜症を結び付ける。低カリウム血症を伴う高血圧では原発性アルドステロン症、腹部血管雑音では腎血管性高血圧、発作性頭痛・動悸・発汗では褐色細胞腫を考える。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。