口すぼめ呼吸は、鼻から吸気し、口唇をすぼめて抵抗をかけながらゆっくり呼気する呼吸様式である。COPD、特に肺気腫で自発的にみられ、呼気時の末梢気道虚脱を抑え、呼気時間を延長して動的過膨張や呼吸困難を軽減する。
身体徴候
COPDでは肺弾性収縮力が低下し、呼気時に胸腔内圧が気道内圧を上回ると末梢気道が早期に虚脱する。口唇をすぼめて呼気抵抗を加えると、口腔側から気道内へ軽い陽圧が形成され、等圧点が中枢側へ移動して小気道虚脱が抑えられる。呼気時間が延長し、肺内に取り残される空気が減ることで動的過膨張と内因性PEEPが軽減する。呼吸数低下、一回換気量改善、呼吸困難軽減につながることがあるが、効果には個人差がある。
安静時、歩行時、階段昇降後に口唇をすぼめて長く呼気しているか観察する。呼気時間、呼吸数、胸腹部運動、呼気性喘鳴、補助筋使用、SpO2、Borg尺度を評価する。患者が自然に行っている場合は、その呼吸で症状が軽減するか確認する。指導する場合は肩の力を抜き、鼻から軽く吸い、ろうそくの炎を揺らす程度に細く長く吐くよう説明する。強く吹きすぎたり、吸気時間より呼気時間が短くなったりしないよう確認する。重症例では運動時の酸素化と換気も評価する。
Kussmaul呼吸は代謝性アシドーシスに対する深く規則的な呼吸であり、口唇をすぼめることを本質としない。過換気症候群では速く深い呼吸としびれがみられるが、呼気流制限への代償ではない。声帯機能不全では吸気性喘鳴や咽頭部の閉塞感が主体となる。COPD患者が前傾座位と口すぼめ呼吸を組み合わせる場合、呼吸補助筋を効率よく使用していることがある。
口すぼめ呼吸自体は代償手段だが、安静時に持続し会話困難、意識障害、低酸素血症、胸腹部奇異性運動を伴う場合は重症呼吸不全を疑う。COPD患者で呼吸数が減った一方、傾眠や呼吸音低下が進む場合は高二酸化炭素血症・疲弊を評価する。突然の胸痛や片側呼吸音低下があれば気胸を考える。
口すぼめ呼吸はCOPD・肺気腫でみられ、呼気時に気道内陽圧を保って末梢気道虚脱を抑える。呼気時間延長によりair trappingと動的過膨張を軽減する。呼吸リハビリテーションでは呼吸困難時の自己管理法として用いられるが、急性呼吸不全の評価を置き換えるものではない。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。