診察や観察で確認できる身体徴候を、病態との関係・確認方法・鑑別の観点から整理します。
胸膜摩擦音は、炎症で粗造化した臓側胸膜と壁側胸膜が呼吸運動に伴って擦れ合うことで生じる、きしむような非楽音性副雑音である。胸膜炎、肺炎、肺梗塞、悪性腫瘍などでみられ、胸膜痛を伴うことが多い。
脱水は、体内の水分が不足し、循環血液量や細胞内外液の恒常性が損なわれた状態である。嘔吐、下痢、発熱、発汗、多尿、摂取不足などで生じ、重症化するとショック、急性腎障害、意識障害を来す。
腸雑音亢進は、腸管内の液体やガスの移動に伴う音が、頻回または大きく聴取される所見である。急性胃腸炎、下痢、機械性腸閉塞の初期、消化管出血後などでみられるが、音の頻度だけで疾患を確定できない。
起立性低血圧は、臥位または座位から立位へ移った際に血圧が持続的に低下する身体所見である。めまい、眼前暗黒感、脱力、失神、転倒を生じ、高齢者、自律神経障害、脱水、薬剤使用者で重要となる。
連続性雑音は、収縮期からII音を越えて拡張期まで途切れず持続する心血管雑音である。心周期全体を通じて圧較差が存在する病態で生じ、動脈管開存症、動静脈瘻、Valsalva洞動脈瘤破裂、冠動静脈瘻などが代表原因となる。
非圧痕性浮腫は、腫脹部を圧迫しても明らかな陥凹が残りにくい浮腫である。リンパ浮腫、粘液水腫、進行した慢性浮腫などでみられる。
頸静脈圧上昇は、内頸静脈の拍動上縁が通常より高い位置にみられる身体所見であり、右房圧上昇を反映する。右心不全、体液過剰、心タンポナーデ、収縮性心膜炎、肺高血圧などの評価に重要である。
頻呼吸は、年齢や状況に対して呼吸数が増加した状態である。発熱、低酸素血症、代謝性アシドーシス、肺疾患、心不全、疼痛、不安などでみられ、重症化の早期徴候となる。
顔面蒼白は、顔面の皮膚色が通常より白く見える身体徴候である。貧血、末梢血管収縮、急性出血、ショック、失神前状態などで生じる。
高血圧は、診察室または家庭で測定した血圧が持続的に高い状態である。多くは無症状だが、長期に続くと心臓、脳、腎臓、網膜、血管に障害を蓄積し、脳卒中、心不全、慢性腎臓病などの主要な危険因子となる。
疾患・概念・薬・検査・症状徴候・病原体を横断して確認できます。