概念図鑑
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酸素カスケード
酸素カスケードは、大気から肺胞、動脈血、組織、ミトコンドリアへ酸素が移るにつれて酸素分圧が段階的に低下する過程である。
肺血流のWest区域
肺血流のWest区域は、肺胞圧、肺動脈圧、肺静脈圧の大小関係から、肺毛細血管の開存性と血流の駆動圧を整理する。
肺拡散能
肺拡散能は、肺胞と肺毛細血管の分圧差に対してどれだけガスが移動できるかを示し、肺胞膜と血液側の受け取り能力を反映する。
呼吸性洞性不整脈と心拍変動
呼吸性洞性不整脈は吸気で心拍数が増え、呼気で減る生理的変動であり、心拍変動は洞周期の揺らぎから自律神経・心肺調節を捉える。
心臓自律神経作用:変時・変伝導・変力・変弛緩作用
自律神経は、心拍数、房室伝導、収縮力、弛緩速度を別々の作用軸として調節し、状況に応じて心臓の拍動性能を変える。
平均循環充満圧とストレス血液量
平均循環充満圧は、心拍出が停止して全身血管内圧が均一になったと仮定した時の圧であり、静脈還流の上流側駆動圧を表す。
代謝性血管拡張
代謝性血管拡張は、組織活動に伴うアデノシン、K⁺、CO₂、H⁺などの変化を利用し、需要が増えた部位へ局所血流を増やす。
血管平滑筋の筋原性反応
筋原性反応は、血管内圧が上がると血管平滑筋が収縮し、圧が下がると弛緩して、局所血流と毛細血管圧を安定化する反応である。
脳灌流圧
脳灌流圧は脳血流を駆動する圧較差で、通常は平均動脈圧から頭蓋内圧を引いた値として近似される。
頭蓋内コンプライアンスと圧–容積関係
頭蓋内では初期の容積増加を脳脊髄液と静脈血の移動で代償できるが、予備能が尽きると少量の追加容積で頭蓋内圧が急上昇する。
神経血管カップリング
神経血管カップリングは、局所の神経活動増加を近傍血管の拡張へ結び付け、活動部位へ酸素とグルコースを増配する。
脳脊髄液の産生・循環・吸収
脳脊髄液は主に脈絡叢で産生され、脳室系とくも膜下腔を循環し、静脈系およびリンパ系へ吸収される。
睡眠恒常性と睡眠構築
睡眠は、覚醒時間に伴って蓄積する睡眠圧と概日時計の作用によって始まり、NREM睡眠とREM睡眠が周期的に配列される。
シナプス前抑制とシナプス前促通
シナプス前抑制・促通は、軸索終末へのCa²⁺流入と小胞放出確率を変え、特定の入力だけを選択的に弱めたり強めたりする。
皮質脊髄路と下行性運動制御
皮質脊髄路は大脳皮質の運動指令を脳幹・脊髄へ伝え、特に手指など遠位筋の分離運動を精密に制御する。
後索–内側毛帯系と前外側系
後索–内側毛帯系は精細触覚、振動覚、意識性深部感覚を、前外側系は痛覚、温度覚、粗大触覚を主に伝え、交叉する位置が異なる。
ラベルドライン原理と体部位局在
ラベルドライン原理は、活動した感覚経路の所属が感覚の種類を決めるという考えであり、体部位局在は身体の位置が中枢で規則的な地図として表現される性質である。
感覚情報の符号化
感覚系は刺激の種類、強さ、持続時間、位置を、活動する経路、発火頻度、参加するニューロン数、発火の時間パターンへ変換する。
中枢パターン生成器
中枢パターン生成器は、感覚入力や随意指令がなくても呼吸や歩行などの基本的な周期運動を生み、外部入力に応じて調整される神経回路である。
自律神経の共伝達
自律神経終末は、アセチルコリンやノルアドレナリンに加えてATPや神経ペプチドなどを放出し、速い反応と遅い調節を重ねる。
心筋Ca²⁺サイクルと弛緩能
心筋は一拍ごとにCa²⁺を細胞質へ放出して収縮し、筋小胞体へ回収して弛緩する。この循環が収縮力と拡張機能を決める。
平滑筋の興奮収縮連関
平滑筋では、細胞内Ca²⁺とカルモジュリンがMLCKを活性化し、ミオシン軽鎖をリン酸化することで収縮が始まる。
神経伝達物質の量子的放出
神経伝達物質は一個のシナプス小胞を基本単位として放出され、シナプス後応答は複数の量子応答の和として生じる。
神経筋接合部と終板電位
神経筋接合部では、運動神経終末から放出されたアセチルコリンが終板電位を作り、筋活動電位と収縮を確実に開始させる。
腸管内分泌細胞の栄養感知と消化管ホルモン
腸管内分泌細胞は腔内の糖、脂肪酸、アミノ酸、胆汁酸などを感知し、消化運動、分泌、食欲、膵島機能をホルモンで調節する。
コレステロール逆転送
コレステロール逆転送は、末梢細胞の余剰コレステロールをHDLへ移し、肝臓へ回収して胆汁排泄へつなげる過程である。
フルクトース・ガラクトース代謝
フルクトースとガラクトースは、それぞれ固有の酵素系を経て解糖系や糖新生の中間体へ変換され、主に肝臓で利用される。
分岐鎖アミノ酸代謝
分岐鎖アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、バリンは、主に骨格筋などで分解され、エネルギー産生、窒素運搬、栄養シグナルに関与する。
代謝柔軟性とランドル回路
代謝柔軟性は、摂食、絶食、運動などに応じて糖と脂肪酸の利用比率を切り替える能力であり、ランドル回路は両燃料の相互抑制を説明する。
FGF23–Klothoリン代謝軸
骨由来FGF23はKlothoを共受容体として腎臓へ作用し、リン再吸収と活性型ビタミンD産生を抑制する。
カルシウム感知受容体
カルシウム感知受容体は細胞外のイオン化Ca²⁺を直接感知し、副甲状腺ホルモン分泌と腎尿細管輸送を調節する。
成長ホルモン–IGF軸
成長ホルモンとIGF-1は、拍動性分泌、肝臓・局所組織での産生、負のフィードバックを通じて成長と代謝を統合する。
11β-HSDと局所コルチゾール作用
11β-HSDはコルチゾールとコルチゾンを組織内で相互変換し、血中濃度だけでは分からない局所の糖質コルチコイド作用を調節する。
ステロイドホルモン合成とStAR
ステロイドホルモンはコレステロールを共通原料とし、StARによるミトコンドリアへの搬入と組織特異的な酵素群によって合成される。
膵β細胞の刺激分泌連関
膵β細胞は、グルコース代謝によるATP増加を膜電位と細胞内Ca²⁺上昇へ変換し、インスリン顆粒を放出する。
核小体とリボソーム生合成
核小体は、リボソームRNAの転写・加工とリボソームサブユニットの初期組立を担う、細胞増殖とタンパク質合成に直結した核内構造である。
前駆体タンパク質の限定分解と活性化
限定分解は、不活性な前駆体タンパク質の特定部位だけを切断し、消化酵素、凝固因子、補体、ホルモンなどを迅速に活性化する仕組みである。
N結合型・O結合型糖鎖修飾
N結合型糖鎖とO結合型糖鎖は、タンパク質の折り畳み、安定性、細胞内輸送、細胞間認識を調節する代表的な翻訳後修飾である。
予測モデルの較正と識別能
識別能は転帰を生じる人へより高い危険度を割り当てる順位付け能力、較正は予測確率と実際の発生頻度が一致する程度であり、別々に評価する必要がある。
非劣性試験と同等性試験
新治療が標準治療より許容可能な範囲を超えて劣らないか、または治療差が両側の許容範囲内にあるかを、事前に定めた境界で検証する試験である。
多面発現
一つの遺伝子、変異、分子経路が複数の臓器や形質へ影響し、一見別々にみえる表現型を同時に生じさせる性質である。
エピスタシスと遺伝子間相互作用
一つの遺伝子座が表現型へ及ぼす効果が別の遺伝子座の状態に依存して変わる非加算的な遺伝的相互作用であり、代謝経路、発生、複雑形質を形成する。
連鎖不平衡とハプロタイプ
同じ染色体上の対立遺伝子の組合せが独立期待値から偏って共存する連鎖不平衡を利用し、ハプロタイプやタグSNPから疾患関連領域を追跡する。
特異体質性薬物反応と反応性代謝物
通常量で少数の患者に予測困難な重篤反応が起こる現象で、反応性代謝物、HLA、細胞ストレス、炎症、免疫寛容破綻など複数因子の重なりで生じる。
時間薬理学と投与時刻
概日リズムによる吸収、代謝、腎排泄、標的感受性、疾患活動の変動を利用し、投与時刻によって効果と有害作用を最適化する。
生物学的同等性と治療学的同等性
試験製剤と標準製剤の吸収速度・吸収量を主にCmaxとAUCで比較し、あらかじめ定めた範囲内なら生物学的同等性を支持する。
用量比例性と蓄積係数
用量を増やしたときのAUC・Cmaxの増え方と、反復投与で定常状態曝露量が初回曝露量の何倍になるかを評価し、線形性と蓄積を判断する。
自己誘導と時間依存性薬物動態
薬物が自らを代謝・排泄する酵素や輸送体の発現を増やし、反復投与中にクリアランスが上昇して半減期と曝露量が時間とともに変化する。
機構に基づく酵素阻害
酵素が基質に似た薬物を反応性中間体へ変換し、その中間体が活性部位や補欠分子族へ結合して、酵素を不可逆的または準不可逆的に失活させる。
効果部位コンパートメントとPK–PDヒステリシス
血漿中濃度と作用部位濃度の時間差を仮想的な作用部位区画で表し、同じ血漿中濃度でも濃度上昇時と低下時で効果が異なる現象を解析する。
フリップフロップ型薬物動態
血管外投与で吸収が全身消失より遅いと、血中濃度の終末相が消失速度ではなく吸収速度を反映し、見かけの半減期が長くなる。
標的介在性薬物動態(TMDD)
高親和性で量に限りのある標的への結合、複合体の内在化・分解が薬物消失に大きく寄与し、投与量や標的量に応じた非線形薬物動態を生む。
バイアス作動性と機能選択性
同じ受容体へ結合する作動薬でも、受容体の異なる活性構造を安定化し、Gタンパク質系やβアレスチン系など特定の情報伝達経路を相対的に選択して異なる作用を生む。
がん免疫編集
免疫系は腫瘍細胞を排除する一方、その選択圧によって免疫から逃れやすいクローンを残す。排除・平衡・逃避の三相で腫瘍と免疫の相互作用を捉える。
免疫老化とインフラメイジング
加齢により未熟リンパ球の多様性と新規抗原への応答が低下する一方、低度の慢性炎症が持続し、感染防御低下と組織障害が併存する。
T細胞疲弊
抗原刺激が長期間続くと、T細胞は段階的に増殖能・サイトカイン産生・細胞傷害能を低下させ、抑制性受容体と固有の転写・エピジェネティック状態をもつ疲弊状態へ移る。
免疫血栓症
自然免疫と凝固系が感染局所の微小血管内に血栓を形成して病原体を封じ込める防御機構であり、全身へ拡大するとDICや臓器障害を起こす。
エフェロサイトーシスとアポトーシス細胞の非炎症性除去
食細胞がアポトーシス細胞の誘引信号と貪食目印を認識し、細胞膜が破綻する前に静かに除去することでDAMP放出を防ぎ、炎症の収束と組織修復を促す。
炎症の収束と炎症収束性メディエーター
炎症の終結は、好中球流入の停止、アポトーシス細胞の除去、脂質メディエーターの切替え、血管・組織修復を能動的に進めて恒常性を回復する過程である。
免疫複合体のクリアランス
血中の抗原–抗体複合体を補体で標識し、赤血球CR1が肝臓・脾臓のマクロファージへ運んで血管内から除去する。