概念図鑑
疾患・症状・薬・検査をつなぐ医学概念を、定義とイメージから確認できます。
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抗体依存性感染増強
中和できない、または中和力が不十分な抗体がFc受容体などを介して病原体の細胞侵入や炎症を増やし、感染や病態を悪化させる現象である。
免疫刷り込みと抗原原罪
初回感染やワクチンで形成された記憶リンパ球が、後に似た抗原へ曝露した際の応答を長期に方向づけ、迅速な防御と特異性の偏りの両方を生む。
エピトープスプレッディング
初期の免疫反応で組織が傷害されると新たな抗原決定基が露出・提示され、標的が同一分子内または別分子へ広がって慢性化や再燃を促す。
分子相同性(分子擬態)と自己免疫
病原体抗原と自己抗原の構造が似ているため、感染で活性化されたT細胞や抗体が自己組織にも交差反応し、自己免疫を誘発し得る。
濾胞性ヘルパーT細胞とB細胞選択
濾胞性ヘルパーT細胞は、B細胞が提示する同一抗原を認識し、CD40LやIL-21などを与えて胚中心での選択、クラススイッチ、形質細胞・記憶B細胞分化を制御する。
胚中心暗調帯・明調帯とB細胞選択
胚中心では、暗調帯でB細胞が増殖と体細胞超変異を行い、明調帯で抗原獲得と濾胞性ヘルパーT細胞からの援助を競うことで、高親和性クローンが選ばれる。
DOHaDと胎児プログラミング
胎生期から乳幼児期の栄養、低酸素、ストレス、化学物質曝露などが発達の可塑性を通じて臓器構造や代謝設定を変え、成人期の疾患感受性へ影響する。
脱落膜化と着床の窓
プロゲステロン作用によって子宮内膜間質細胞が脱落膜細胞へ分化し、限られた受容期に胚の接着・侵入、血管改変、局所免疫調節を可能にする。
精子の受精能獲得と先体反応
射出後の精子は女性生殖路で膜脂質とイオン情報伝達を再編し、過活性化運動を獲得する。卵近傍では先体反応を起こして受精可能となる。
卵母細胞の減数分裂休止と再開
一次卵母細胞は減数分裂前期Iで長期停止し、LHサージで再開する。二次卵母細胞は減数分裂中期IIで再び停止し、受精時のCa²⁺振動で完了する。
母体–胎児物質輸送と胎盤関門
合胞体栄養膜を中心とする胎盤交換面が母体血と胎児血を分離しつつ、ガス、糖、アミノ酸、脂質、鉄、IgGなどを選択的に輸送する。
プロラクチン・乳汁産生・射乳反射
プロラクチンが乳汁合成を促し、オキシトシンが筋上皮細胞を収縮させて射乳を起こす。吸啜刺激が両者を協調させる。
hCGによる黄体維持と黄体–胎盤移行
着床後の合胞体栄養膜がhCGを分泌して妊娠黄体を維持し、胎盤が十分なプロゲステロン産生を担えるまで妊娠を支える。
胎児–胎盤単位によるステロイドホルモン産生
胎盤、胎児副腎、胎児肝がステロイド前駆体を受け渡し、胎盤単独では不足する酵素反応を補いながらプロゲステロンとエストロゲンを産生する。
卵巣の2細胞2ゴナドトロピン説
莢膜細胞がLH刺激でアンドロゲンを作り、顆粒膜細胞がFSH刺激でそれをエストロゲンへ変換する、卵胞内ステロイド合成の分業モデルである。
GnRHパルスと周波数依存性応答
GnRHの分泌間隔と振幅を下垂体ゴナドトロフが読み取り、LHとFSHの合成・分泌比を調節する。持続刺激では受容体脱感作が起こる。
味覚変換と味質符号化
甘味・旨味・苦味は主にGタンパク質共役型受容体を、酸味と塩味は主にイオン経路を用いて受容され、味蕾から脳幹へ味質別の活動として伝えられる。
嗅覚変換と組合せ符号化
一つの嗅神経細胞が原則として一種類の嗅覚受容体を発現し、複数受容体の活動の組合せによって膨大な種類の匂い分子を識別する。
両耳間時間差・音圧差と音源定位
左右の耳に音が届く時刻差と音圧差を脳幹回路が比較し、耳介による周波数特性も統合して音源の方向を推定する。
中枢性疲労と末梢性筋疲労
運動中の筋力低下を、脳・脊髄から筋へ送る随意運動指令の低下と、神経筋接合部以遠の筋線維内機構の低下に分けて理解する概念である。
ドパミン報酬予測誤差
実際に得た報酬と予測した報酬の差を中脳ドパミン神経の一過性活動変化として表し、手掛かりの価値や行動選択を更新する学習信号である。
遠心性コピーと随伴発射
運動指令の写しを感覚系へ送り、自己運動によって生じるはずの感覚を予測して差し引くことで、外界由来の変化と運動誤差を抽出する仕組みである。
恒常性シナプス可塑性とシナプススケーリング
神経回路の活動が長期間高すぎたり低すぎたりしたとき、シナプス強度や細胞固有の興奮性を補正して平均発火率を安定範囲へ戻す負のフィードバック機構である。
短期シナプス促通とシナプス抑圧
直前の発火履歴によって、シナプス前終末の残存Ca²⁺や放出可能小胞数が変化し、数ミリ秒から数分の範囲でシナプス伝達効率が増減する。
後過分極と発火頻度順応
活動電位後に生じる過分極と各種順応電流が、持続刺激中の発火間隔を徐々に延長し、ニューロンの時間的な出力特性を整える。
樹状突起統合と逆行性活動電位
樹状突起は、形態と局所イオンチャネルを利用して多数のシナプス入力を非線形に統合し、逆行性活動電位によって発火結果を各シナプスへ伝え返す。
軸索初節と活動電位の開始
軸索初節は、電位依存性Na⁺チャネルを高密度に集め、細胞体と樹状突起で統合された入力を活動電位へ変換するニューロンの発火開始部位である。
電気シナプスとギャップ結合
コネキシンからなるギャップ結合を通じて隣接細胞の細胞質を直接つなぎ、電流や小分子を高速に伝えて細胞集団の同期を支えるシナプスである。
アルドステロン・パラドックス
同じアルドステロン上昇でも、体液量減少時にはNa⁺保持を、単独の高K⁺血症ではK⁺排泄を優先する遠位ネフロンの状況依存性応答である。
近位尿細管の低分子蛋白回収
糸球体を通過した低分子タンパク質と少量のアルブミンを、メガリン–キュビリン依存性取り込みによって回収し、リソソームで分解してアミノ酸へ戻す。
腎髄質浸透圧勾配の消失と尿濃縮障害
高尿流量や腎髄質血流増加によってNaClと尿素の浸透圧勾配が失われると、ADHが働いても集合管から水を十分に回収できなくなる。
浸透圧利尿と水利尿
尿細管内に残る溶質が水を引き留める浸透圧利尿と、ADH作用低下によって希釈尿を多量に排泄する水利尿を区別する。
毛細血管通過時間とガス拡散平衡
赤血球が肺毛細血管を通る時間内に肺胞ガスとどこまで分圧平衡へ達するかが、ガス取り込みの血流依存性と拡散依存性を決める。
高地順化と低酸素応答
低気圧による低酸素環境へ、過換気、腎でのHCO₃⁻排泄、EPO増加、赤血球量増加、組織代謝変化を時間差で組み合わせて適応する。
混合静脈血酸素飽和度と全身酸素需給均衡
全身から戻る肺動脈血の酸素飽和度を用い、心拍出量、ヘモグロビン、動脈血酸素飽和度、酸素消費量の均衡を評価する。
側副換気と肺内ガス再分配
通常の気道を迂回して隣接肺領域間をガスが移動する仕組みで、局所気道閉塞時の換気維持、肺胞再膨張、肺内ガス再分配に影響する。
Bohr方程式と生理学的死腔率
動脈血CO₂分圧と混合呼気CO₂分圧の差から、一回換気量のうちガス交換に参加しない生理学的死腔の割合を求める。
呼吸商と呼吸交換比
細胞で産生したCO₂と消費したO₂の比を呼吸商、呼気から測定した比を呼吸交換比とし、利用燃料と代謝・換気状態を推定する。
肺胞相互依存と局所虚脱の抑制
隣接肺胞が共有する隔壁と肺実質の連続した弾性網によって互いを牽引し、一部の肺胞虚脱を抑え、局所負荷を周囲へ分散する。
肺血管抵抗と肺気量のU字関係
肺胞内血管と肺胞外血管が肺気量へ逆方向に反応するため、肺血管抵抗は機能的残気量付近で低く、低肺気量と高肺気量の両方で増える。
冠血流予備能
安静時の冠血流に対し、最大血管拡張時にどこまで血流を増やせるかを示し、心外膜冠動脈狭窄と冠微小循環機能を統合して評価する。
心筋の力–頻度関係とBowditch効果
生理的範囲で心拍数が上がると細胞内Ca²⁺循環が増強して一拍あたりの収縮力も増える、正の階段現象である。
動脈インピーダンスと波強度
拍動する圧と血流の関係を周波数ごとに表す動脈インピーダンスと、進行波・反射波が血流を加速または減速する瞬間を捉える波強度解析で、動脈系の拍動負荷を評価する。
臨界閉鎖圧と血管ウォーターフォール現象
血管外圧と血管緊張によって血管がつぶれやすくなり、下流圧の影響が切り離され、上流圧が一定値を下回ると血流が止まる現象である。
浮腫形成を遅らせる組織安全因子
間質圧上昇、リンパ流増加、間質タンパク質の洗い流しが濾過増加を緩衝し、一定範囲まで組織液の蓄積を抑える。
毛細血管濾過係数Kfと反射係数σ
毛細血管からの水移動量を、膜の水透過性と交換面積を表すKf、およびタンパク質を遮る能力を表す反射係数σで定量する。
毛細血管リクルートメントと機能的拡散距離
組織需要に応じて灌流される毛細血管の範囲と赤血球分布を変え、交換面積を増やし、酸素や栄養素が細胞まで拡散する距離を短くする。
血管内皮グリコカリックス
内皮細胞表面の糖タンパク質・プロテオグリカン層が血流を感知し、血管透過性、抗凝固、白血球接着、毛細血管濾過を調節する。
非酵素的糖化・AGE・RAGEシグナル伝達
還元糖がタンパク質、脂質、核酸へ非酵素的に結合し、AGEによる架橋とRAGEシグナルを介して組織硬化、酸化ストレス、炎症を蓄積させる。
エタノール代謝とNADH/NAD⁺比の変化
アルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素がエタノールを酢酸へ酸化し、NADH過剰を介して糖新生、脂肪酸酸化、乳酸代謝を大きく変える。
プリン分解・キサンチン酸化還元酵素・尿酸
アデニン・グアニンヌクレオチドをヒポキサンチン、キサンチンを経て尿酸へ分解し、再利用と腎・腸管排泄との均衡で体内尿酸量を決める。
全身アンモニア運搬・尿素化・脳内解毒
アミノ酸分解で生じたアンモニアをグルタミンやアラニンとして運び、肝臓で尿素へ、腎臓でアンモニウムイオンとして排泄し、特に脳への毒性を抑える。
グルタミン代謝と炭素・窒素運搬
グルタミンが毒性の低い窒素運搬体、TCA回路補充基質、核酸やアミノ糖合成のアミド窒素供与体として、筋、肝、腸、腎、免疫細胞の代謝をつなぐ。
鉄–硫黄クラスター生合成とタンパク質組込み
鉄と硫黄を専用の足場上で組み立て、電子伝達、酵素反応、DNA維持に必要な鉄–硫黄タンパク質へ受け渡す保存的な生合成機構である。
統合ストレス応答とeIF2αリン酸化
アミノ酸欠乏、ウイルス感染、小胞体ストレス、ヘム不足などをeIF2αリン酸化へ集約し、全体の翻訳を抑えながら適応に必要なタンパク質の翻訳を優先する。
HIF–プロリル水酸化酵素酸素感知系
酸素依存性プロリル水酸化酵素がHIF-αの分解速度を変え、低酸素時に造血、血管新生、解糖、鉄代謝に関わる遺伝子を誘導する酸素感知系である。
代謝の中心としてのアセチルCoA
糖、脂肪酸、アミノ酸の分解をTCA回路へ集約し、脂質合成、ケトン体産生、タンパク質アセチル化へ分配する二炭素代謝の中心分子である。
代謝区画化と局所代謝物プール
細胞小器官、膜、酵素複合体、組織ごとに代謝反応を分け、同じ代謝物でも局所濃度や酸化還元状態を別々に制御する仕組みである。
基質サイクルと無益回路
正方向と逆方向を別々の酵素が同時に進め、ATPを消費しながら代謝の正味の流れを細かく調節し、迅速な方向転換や熱産生を可能にする。
アナプレロシスとカタプレロシス
TCA回路中間体を補充するアナプレロシスと、生合成へ取り出すカタプレロシスの均衡によって、エネルギー産生と物質合成を両立させる。