概念図鑑
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グルタチオン酸化還元サイクル
還元型グルタチオンが過酸化物や求電子物質を処理し、NADPHを使って再生されることで、細胞内の酸化還元環境と解毒能を維持する。
乳酸シャトルと細胞質NADH/NAD⁺再酸化
乳酸脱水素酵素反応とモノカルボン酸トランスポーターを介し、乳酸を組織内・臓器間で燃料や糖新生基質として移動させる仕組みである。
クレアチン–ホスホクレアチンシャトル
ミトコンドリアで作られた高エネルギーリン酸をホスホクレアチンとしてATP消費部位へ運び、急なエネルギー需要を緩衝する仕組みである。
足場依存性とアノイキス
上皮細胞などが適切な細胞外基質への接着を生存条件とし、接着を失った細胞をアノイキスで除去して、異所での生存と増殖を防ぐ。
タンパク質の脂質修飾と膜係留
脂肪酸、イソプレノイド、GPIなどをタンパク質へ共有結合させ、膜局在、膜内領域の選択、シグナル複合体形成を調節する翻訳後修飾である。
テロメア・テロメラーゼ・末端複製問題
線状染色体の末端を反復配列とシェルテリンで保護し、テロメラーゼが短縮を補うことで、DNA末端を損傷と誤認させず、細胞の増殖限界を調節する。
細胞外小胞・エクソソーム・マイクロベシクル
脂質二重膜で囲まれた小粒子としてタンパク質、脂質、RNAなどを細胞外へ運び、細胞間情報伝達や体液バイオマーカーに関与する。
生体分子凝縮体と液–液相分離
タンパク質やRNAを膜なしで局所的に濃縮し、反応、貯蔵、ストレス応答を時空間的に調節する可逆的な分子集合体である。
ナンセンス依存mRNA分解(NMD)
早期終止コドンを含むmRNAを翻訳時に見つけて分解し、異常な短縮タンパク質の産生を抑えると同時に、一部の正常mRNA量も調節する品質管理機構である。
RNA干渉:miRNAとsiRNA
短いRNAを目印として相補的なmRNAを認識し、翻訳抑制、mRNA不安定化、切断を行う配列特異的な遺伝子発現調節機構である。
核膜孔輸送とRan GTPase勾配
核膜孔を通るタンパク質とRNAの選択的輸送を、核移行・核外移行シグナル、インポーチン・エクスポーチン、核内に多いRan-GTPによって方向づける。
小胞体関連分解(ERAD)
小胞体内で正しく折りたためなかったタンパク質を選別し、細胞質側へ引き出してユビキチン化し、プロテアソームで分解する品質管理機構である。
マンノース6リン酸によるリソソーム酵素標的化
ゴルジ装置で酸性加水分解酵素へマンノース6リン酸標識を付け、受容体を介してエンドソームからリソソームへ届ける選別機構である。
姉妹染色分体間接着・動原体・染色体分配
コヒーシンで姉妹染色分体を保持し、各動原体が反対側の紡錘体極へ正しく結合したことを確認した後、結合を解除して染色体を等しく分配する仕組みである。
中心体周期と紡錘体形成
中心小体を細胞周期ごとに一度だけ複製し、二つの中心体から二極性紡錘体を形成して、複製された染色体を二つの娘細胞へ正確に分配する仕組みである。
核ラミナ・核力学・クロマチン配置
核膜内側にあるラミンの網目構造が、核の形と強度を保ちながら、クロマチン配置、遺伝子発現、細胞骨格からの力の伝達を結びつける。
細胞小器官間接触部位と脂質・Ca²⁺交換
膜融合を起こさずに小胞体、ミトコンドリア、形質膜などを近接させ、脂質やCa²⁺を直接受け渡すことで、小器官間の代謝と情報伝達を調節する構造である。
膜脂質非対称性とフリッパーゼ・フロッパーゼ・スクランブラーゼ
細胞膜の内層と外層でリン脂質の分布を偏らせ、必要な場面ではその偏りを速やかに解消する仕組みで、膜機能、血液凝固、アポトーシス細胞の認識を支える。
タンパク質の細胞内局在化とシグナルペプチド
新生タンパク質に埋め込まれた局在シグナルを輸送装置が読み取り、小胞体、核、ミトコンドリアなど正しい区画へ配送する仕組み。
ペルオキシソームと極長鎖脂肪酸代謝
極長鎖脂肪酸の短縮、過酸化水素処理、プラスマローゲン合成などを担い、ミトコンドリアと分担する細胞小器官。
ミトコンドリア分裂・融合とマイトファジー
ミトコンドリアを分裂・融合させて内容物を混合・選別し、損傷部分をマイトファジーで除去する品質管理系。
ミトコンドリア透過性遷移
Ca²⁺過負荷や酸化ストレスで内膜の非選択的透過性が急増し、膜電位消失、ATP枯渇、膨化、細胞死を招く現象。
ストア作動性Ca²⁺流入
小胞体Ca²⁺貯蔵の減少をSTIMが感知し、ORAIチャネルを開いて細胞外からCa²⁺を補充・持続流入させる機構。
Ca²⁺誘発性Ca²⁺放出
膜から流入した少量のCa²⁺がリアノジン受容体を開き、細胞内貯蔵Ca²⁺を大量放出して収縮・分泌信号を増幅する機構。
AMPKによるエネルギー感知
細胞内AMP・ADP増加をエネルギー不足として感知し、ATP産生を促進してATP消費性合成を抑える代謝スイッチ。
Hippo–YAP/TAZ経路
細胞密度、極性、基質硬度、機械張力をYAP/TAZの核移行へ反映し、増殖、再生、臓器サイズを調節する経路。
TGF-β–SMAD経路
TGF-β受容体のセリン・スレオニンキナーゼ活性がSMADを介して、増殖抑制、分化、免疫調節、線維化を制御する経路。
Hedgehogシグナル伝達
HedgehogがPatchedによるSmoothened抑制を解除し、一次線毛内のGli制御を通じて発生パターンと細胞増殖を調節する経路。
Notchシグナル伝達
隣接細胞同士の膜結合リガンド–受容体接触を、Notch細胞内領域の切断・核移行へ変換する細胞運命決定経路。
Wnt–βカテニン経路
Wnt刺激がβカテニン分解複合体を抑え、核内転写へつなぐことで細胞運命、幹細胞維持、組織再生を制御する経路。
NF-κBシグナル伝達
炎症・感染・細胞ストレスを感知し、IκB分解を介してNF-κBを核へ移行させ、免疫・生存遺伝子を誘導する経路。
JAK–STAT経路
サイトカイン受容体に結合したJAKがSTATをリン酸化し、細胞膜から核へ比較的短い経路で転写応答を伝える仕組み。
PI3K–Akt–mTOR経路
膜リン脂質PIP₃を足場としてAktを活性化し、栄養、成長因子、蛋白合成、代謝、細胞生存を統合するシグナル経路。
MAPK–ERK経路
RasからRaf、MEK、ERKへリン酸化を連鎖させ、増殖因子入力を遺伝子発現、増殖、分化へ変換するシグナル経路。
Ca²⁺シグナル・カルモジュリン・CaMK
細胞質Ca²⁺濃度の一過性上昇をカルモジュリンなどが読み取り、収縮、分泌、代謝、遺伝子発現へ変換する情報伝達系。
多因子遺伝と遺伝率
多因子形質は多数の遺伝バリアントと環境要因の合算で連続分布または閾値表現型を作り、遺伝率は特定集団・環境での表現型分散のうち遺伝分散が占める割合を示す。
アレル異質性と遺伝子座異質性
アレル異質性は同一遺伝子の異なる変異が同じ疾患を生み、遺伝子座異質性は異なる遺伝子の変異が似た表現型を生む現象で、検査と表現型幅を左右する。
ハプロ不全とドミナントネガティブ
優性遺伝性機能喪失は正常アレル1コピーの産物量が足りないハプロ不全と、変異産物が正常産物の機能を妨げるドミナントネガティブで機序が異なる。
プロドラッグと活性代謝物
プロドラッグは体内変換後に活性体となるよう設計され、活性代謝物は親薬物の代謝で生じて薬効・持続・毒性へ寄与するため、変換酵素と個体差が重要となる。
pH分配仮説とイオントラッピング
弱酸・弱塩基は非イオン型ほど脂質膜を通過しやすく、膜両側のpH差により総濃度が偏るため、吸収、分布、胎盤移行、尿中排泄へ影響する。
スーパー抗原
スーパー抗原は通常のペプチド溝を使わずMHCクラスII外側と特定TCR Vβを架橋し、多数のT細胞を非特異的に活性化してサイトカイン放出を起こす。
時間依存性・濃度依存性抗菌活性
抗菌薬効果はMIC超過時間、Cmax/MIC、AUC/MICなど異なるPK/PD指標に相関し、薬剤ごとに投与間隔・持続時間・総曝露の最適化原理が異なる。
殺菌作用と静菌作用
殺菌性抗菌薬は生菌数を低下させ、静菌性抗菌薬は主に増殖を抑えて宿主免疫による排除を待つが、区別は薬剤・菌種・濃度・感染環境で変化する。
細菌増殖曲線
閉鎖培養系の細菌数は遅滞期、対数増殖期、定常期、死滅期をたどり、栄養・代謝産物・遺伝子発現・抗菌薬感受性が各期で変化する。
I型インターフェロンと抗ウイルス状態
ウイルス核酸を感知した細胞はIFN-α/βを分泌し、JAK–STATで周囲細胞へISGを誘導して翻訳抑制、RNA分解、侵入阻止、NK活性化を準備する。
Fc受容体と抗体依存性細胞傷害
Fc受容体は抗体Fc部を認識し、抗体で標識された標的を貪食、脱顆粒、サイトカイン産生、ADCCへ結び、抑制性Fc受容体が過剰反応を制限する。
サイトカインの多面性・冗長性・相乗性
サイトカイン網は一つの分子が複数作用を持つ多面性、複数分子が同じ作用を持つ冗長性、相乗・拮抗・カスケードで免疫応答を頑健かつ文脈依存的に制御する。
ネトーシスと好中球細胞外トラップ
好中球はクロマチンへ顆粒タンパク質を付着させたNETを細胞外へ放出し、病原体を捕捉する一方、血栓、内皮障害、自己抗原提示を促し得る。
受容体脱感作とダウンレギュレーション
持続刺激では受容体リン酸化、β-arrestin結合、内在化、分解・発現低下により応答が弱まり、短時間の脱感作から長時間のダウンレギュレーションまで段階的に適応する。
分子時計と概日リズム
概日時計はCLOCK/BMAL1による転写とPER/CRYによる負のフィードバックが約24時間周期で振動し、視交叉上核が光で同調して末梢時計を統合する。
ゲートコントロールと下行性疼痛抑制
脊髄後角では太い触覚線維入力が抑制介在ニューロンを介して侵害入力を弱め、脳幹からの下行路がセロトニン、ノルアドレナリン、内因性オピオイドで伝達利得を調節する。
前庭動眼反射
前庭動眼反射は頭部回転と反対方向へ同じ速度で眼球を動かし、前庭器–前庭神経核–眼筋核の短い回路で網膜像を安定させる。
大脳基底核の直接路・間接路
大脳基底核はGPi/SNrの持続的視床抑制を、直接路で弱めて運動を促進し、間接路で強めて競合運動を抑制し、ドパミンが両経路を運動促進方向に調節する。
筋の力–速度関係
短縮性収縮では負荷が大きいほど短縮速度が低下し、遠心性収縮では短縮時より大きな張力を少ない代謝コストで発揮できる。
α–γ共活性化とγループ
随意運動ではα運動ニューロンとγ運動ニューロンが同時に活動し、筋が短縮しても筋紡錘の感度を保ち、伸張反射と筋緊張を連続的に調節する。
低酸素血症の5機序
低酸素血症は低吸入酸素、肺胞低換気、拡散障害、換気血流比不均等、右左シャントの5機序で整理でき、A–aDO₂と酸素反応性で鑑別する。
口渇と浸透圧調節
視床下部浸透圧受容器は血漿有効浸透圧の微小な上昇を感知し、ADH分泌と口渇を段階的に誘発して水摂取と腎水保持を協調させる。
腎アンモニア産生とNH₄⁺トラッピング
近位尿細管はグルタミンからNH₄⁺と新規HCO₃⁻を産生し、髄質内再循環と集合管でのNH₃拡散・H⁺捕捉により酸を尿中へ排泄する。
Ca²⁺・リン酸・Mg²⁺の腎性調節
腎はネフロン部位ごとにCa²⁺、リン酸、Mg²⁺を再吸収し、PTH、活性型ビタミンD、FGF23、Ca感知受容体などで血中濃度と骨代謝を調節する。
尿細管周囲毛細血管再吸収
近位尿細管から間質へ移った水・溶質は、輸出細動脈後の高膠質浸透圧と低静水圧により尿細管周囲毛細血管へ回収される。