頭痛、テタニー、Babinski反射など、症状・徴候・所見から鑑別と臨床推論へ進むための図鑑です。
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徐脈は、安静時の心拍数が通常より遅い状態である。運動習慣による生理的徐脈もあるが、洞不全症候群、房室ブロック、薬剤、虚血、電解質異常では失神や循環不全を生じる。
心尖拍動偏位は、左室による最外側・最下方の収縮性拍動が通常位置から移動した所見である。左室拡大では左下方へ偏位し、心拡大の身体所見となるが、胸郭変形、横隔膜位置、肺過膨張、縦隔偏位でも位置が変化する。
心窩部痛は、胸骨下端と臍の間の上腹部中央に感じる疼痛である。胃炎、消化性潰瘍、機能性ディスペプシア、急性膵炎、胆道疾患が多いが、急性冠症候群、大動脈疾患、下壁肺炎でも生じる。
心膜摩擦音は、炎症により粗造化した臓側心膜と壁側心膜が心拍に伴って擦れ合うことで生じる、高調で擦過性の付加音である。急性心膜炎に特徴的で、胸骨左縁で前傾姿勢にすると聴取しやすい。
悪寒は寒さを強く感じる症状、戦慄は体温上昇に伴って起こる不随意な激しい筋収縮である。菌血症、重症感染症、急速な発熱時にみられ、単なる寒気より臨床的意義が大きい。
慢性咳嗽は、成人では一般に8週間以上持続する咳嗽である。咳喘息、上気道咳症候群、胃食道逆流症、好酸球性気道炎症、ACE阻害薬、喫煙関連疾患などが代表原因である。
手袋靴下型感覚障害は、両側の足先から下腿、進行すると手指から前腕へ、手袋や靴下を着けたように左右対称性に広がる感覚障害である。長さ依存性多発ニューロパチーに典型的で、糖尿病が代表原因となる。
更新: 2026年8月6日
詳しく見る→打診濁音は、胸壁を打診した際に正常肺野の共鳴音より低く、短く、鈍い音を認める所見である。胸水、肺炎、無気肺、腫瘤など、胸壁下の空気量が減少し液体や実質組織の割合が増えた場合に生じる。
拡張期雑音は、II音から次のI音までの心室拡張期に聴取される心雑音である。大動脈弁逆流、肺動脈弁逆流、僧帽弁狭窄症、三尖弁狭窄症などで生じ、一般に病的所見として原因検索が必要となる。
排尿時痛は、排尿中または排尿直後に尿道や膀胱部へ痛みを感じる症状である。膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、結石などでみられる。
掻痒は、皮膚を掻きたいと感じる不快な感覚である。皮膚疾患のほか、胆汁うっ滞、腎不全、血液疾患、薬剤など全身性疾患でも生じる。
末梢冷感は、手足など四肢末端が冷たく感じられる、または触診で冷たい状態である。寒冷曝露のほか、心拍出量低下、ショック、末梢動脈疾患、自律神経異常などで生じる。
板状硬は、腹壁が板のように硬く緊張し、呼吸や患者の意思によっても弛緩しない高度の腹膜刺激所見である。消化管穿孔、汎発性腹膜炎、腹腔内出血などを強く示唆し、緊急外科評価を要する。
構音障害は、言語内容や理解は保たれているにもかかわらず、発声・共鳴・構音・呼吸運動の障害によって発音が不明瞭となる状態である。中枢神経、脳神経、神経筋接合部、筋疾患などで生じる。
樽状胸郭は、胸郭の前後径が増大し、側面から丸みを帯びた樽状に見える形態所見である。肺気腫を中心とする慢性肺過膨張で典型的だが、加齢や体格でもみられるため、単独ではCOPDを確定できない。
気管偏位は、頸部または胸郭内で気管が正中から左右いずれかへ移動した所見である。肺容量が減少する無気肺・線維化では病変側へ、緊張性気胸や大量胸水など胸腔内圧・容積が増大する病態では反対側へ偏位することがある。
浮腫は、間質に水分が過剰に貯留し、組織が腫脹した状態である。心不全、腎疾患、肝疾患、静脈やリンパ流障害などで生じる。
湿性咳嗽は、気道分泌物を伴い、喀痰の排出を目的として生じる咳嗽である。肺炎、急性・慢性気管支炎、気管支拡張症、COPD、肺水腫などでみられる。
無呼吸は、一定時間にわたり呼吸運動または有効な気流が停止した状態である。気道閉塞、中枢性呼吸停止、神経筋障害、心停止、睡眠関連呼吸障害などで生じる。
無尿は、尿がほとんど排出されない状態である。両側尿路閉塞、重度腎血流低下、重症急性腎障害などで生じる。
狭心痛は、一過性心筋虚血によって生じる胸部不快感であり、胸骨後部の圧迫感、締め付け感、重苦しさとして表現される。労作や精神的興奮で誘発され、休息や硝酸薬で軽快する典型的安定狭心症から、安静時に出現する不安定狭心症・冠攣縮性狭心症まで病態は異なる。
猿手は、母指球筋の萎縮と母指対立・外転機能の低下により、母指が手掌と同じ平面に位置する手の変形である。正中神経麻痺、とくに手関節より近位の障害や進行した手根管症候群でみられる。
眼瞼浮腫は、眼瞼周囲の皮下組織に液体が貯留して腫脹した状態である。腎疾患、アレルギー、感染、甲状腺眼症、局所静脈・リンパ障害などで生じる。
睡眠時無呼吸は、睡眠中に気流が反復して停止または著しく低下する所見である。上気道が閉塞する閉塞性、呼吸中枢からの駆動が消失する中枢性、両者が混在する混合性に分かれ、低酸素血症、睡眠分断、日中傾眠、心血管合併症を引き起こす。
更新: 2026年8月4日
詳しく見る→筋性防御は、腹腔内の炎症に対して腹壁筋が不随意かつ持続的に収縮し、触診時に腹壁が硬くなる所見である。壁側腹膜の刺激を示し、随意性の腹筋緊張と区別する。限局性または汎発性に出現する。
経皮的酸素飽和度低下は、パルスオキシメータで測定されるSpO2が低下した所見である。低酸素血症を示唆するが、末梢循環不良、体動、マニキュア、異常ヘモグロビンなどによる誤差もある。
更新: 2026年7月18日
詳しく見る→羽ばたき振戦は、上肢を伸展し手関節を背屈させた際に、姿勢保持が一過性に途切れて手が不規則に落下・復帰する陰性ミオクローヌスである。肝性脳症、高二酸化炭素血症、尿毒症などの代謝性脳症でみられる。
胸やけは、心窩部から胸骨後部へ上行するように感じる灼熱感であり、胃食道逆流症の代表的症状である。食後、前屈、臥位で増悪しやすいが、狭心症や心筋梗塞も類似した胸部不快感を呈するため、危険因子と随伴症状を確認する。
胸膜摩擦音は、炎症で粗造化した臓側胸膜と壁側胸膜が呼吸運動に伴って擦れ合うことで生じる、きしむような非楽音性副雑音である。胸膜炎、肺炎、肺梗塞、悪性腫瘍などでみられ、胸膜痛を伴うことが多い。
胸部圧迫感は、胸が押される、重い、締め付けられる、息が詰まるように感じる主観的症状である。心筋虚血を最優先に考える必要があるが、喘息、心不全、胃食道逆流症、筋骨格系疾患、パニック発作などでも生じる。
脱水は、体内の水分が不足し、循環血液量や細胞内外液の恒常性が損なわれた状態である。嘔吐、下痢、発熱、発汗、多尿、摂取不足などで生じ、重症化するとショック、急性腎障害、意識障害を来す。
腸雑音亢進は、腸管内の液体やガスの移動に伴う音が、頻回または大きく聴取される所見である。急性胃腸炎、下痢、機械性腸閉塞の初期、消化管出血後などでみられるが、音の頻度だけで疾患を確定できない。
腹部膨満は、腹部が張るという自覚症状、または腹囲が増大して腹部が膨隆した他覚所見である。腸管ガス、便秘、腸閉塞、腹水、肥満、妊娠、臓器腫大、腹腔内腫瘤など多様な原因がある。
膿性痰は、好中球や細胞残渣を多く含み、黄色から緑色を呈する喀痰である。肺炎、気管支拡張症、COPD急性増悪、肺膿瘍などでみられるが、色だけで細菌感染を確定することはできない。
複視は、1つの物体が2つに見える症状である。眼球運動神経障害、外眼筋疾患、神経筋接合部障害、眼窩病変などで生じる。
貧血症状は、血液の酸素運搬能低下により生じる全身症状の総称である。易疲労感、息切れ、動悸、めまい、頭痛などを呈する。
起坐呼吸は、仰臥位になると呼吸困難が増悪し、上半身を起こす、座る、複数の枕を使用すると軽快する症状である。左心不全で典型的だが、重症肺疾患、横隔膜機能低下などでもみられる。
起立性低血圧は、臥位または座位から立位へ移った際に血圧が持続的に低下する身体所見である。めまい、眼前暗黒感、脱力、失神、転倒を生じ、高齢者、自律神経障害、脱水、薬剤使用者で重要となる。
連続性雑音は、収縮期からII音を越えて拡張期まで途切れず持続する心血管雑音である。心周期全体を通じて圧較差が存在する病態で生じ、動脈管開存症、動静脈瘻、Valsalva洞動脈瘤破裂、冠動静脈瘻などが代表原因となる。
間欠性跛行は、歩行など一定の運動により下肢筋の痛み、締め付け、疲労感が出現し、休息により軽快する症状である。末梢動脈疾患による血管性跛行が代表的だが、腰部脊柱管狭窄症による神経性跛行との鑑別が重要となる。
非圧痕性浮腫は、腫脹部を圧迫しても明らかな陥凹が残りにくい浮腫である。リンパ浮腫、粘液水腫、進行した慢性浮腫などでみられる。
頸静脈圧上昇は、内頸静脈の拍動上縁が通常より高い位置にみられる身体所見であり、右房圧上昇を反映する。右心不全、体液過剰、心タンポナーデ、収縮性心膜炎、肺高血圧などの評価に重要である。
頻呼吸は、年齢や状況に対して呼吸数が増加した状態である。発熱、低酸素血症、代謝性アシドーシス、肺疾患、心不全、疼痛、不安などでみられ、重症化の早期徴候となる。
顔面蒼白は、顔面の皮膚色が通常より白く見える身体徴候である。貧血、末梢血管収縮、急性出血、ショック、失神前状態などで生じる。
高血圧は、診察室または家庭で測定した血圧が持続的に高い状態である。多くは無症状だが、長期に続くと心臓、脳、腎臓、網膜、血管に障害を蓄積し、脳卒中、心不全、慢性腎臓病などの主要な危険因子となる。
黒色便・タール便は、消化された血液により黒く粘稠で悪臭を伴う便である。通常は上部消化管出血を示唆する。
鼻閉は、鼻腔通気が低下し、鼻で呼吸しにくいと感じる症状である。鼻炎、鼻中隔偏位、鼻茸、腫瘍などで生じる。
疾患・概念・薬・検査・症状徴候・病原体を横断して確認できます。